AJFの活動

在日アフリカ人家族の生活を考える会:セネガル子育てレポート 報告

日本で暮らすアフリカ人家族が直面するさまざまな課題について一緒に考える集いです。

7月4日に開催した在日アフリカ人家族の生活を考える会講座の報告です。

次回は、9月5日(土)に日本の学校での外国人受け入れの状況を考える講座を計画しています。

「セネガル子育てレポート」報告■

開催日時:2009年7月4日(土)午後1時〜3時20分
会場:早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター会議室
参加者:8人
保育:スタッフ 2人 保育対象者 7人

最初に参加者が全員自己紹介を行いました。

この日は、セネガルでの子育て経験がある人が3人参加していました。

以下、トゥンカラさんの体験談・考察と、参加者の間での質疑の概略を紹介します。

○トゥンカラさんのセネガル子育てレポート

〈背景〉

  • 今年の2月から4月にかけて、家族3人でセネガルへ里帰りした
  • 日本で生まれた1歳半の子どもがセネガルへ行ったのは、これが初めて
  • 行く前に、セネガルの子育て事情を知りたくて、今日、参加しているAさんにも話を聞いた
  • セネガルには、かつて1年近く暮らしたことがある
  • 今回は、ダカールで過ごしたほか、郊外へ旅行にも行った。

〈セネガル子育て第一印象〉

  • 大家族の中で過ごしたので、誰かしら子どもの面倒を見てくれる人がいて、お昼寝もできた
  • 女性だけでなく、男性も子どもの面倒を見ることになれている
  • おむつの交換や着替えなどもやってくれた
  • お手伝いさんもいた
  • 近所の子どもたちは家々を行き来しているので、行った先で着替えをさせてもらったりもしていた
  • どこへ行くにも子ども連れだと思ってバギーを持って行ったが使わなかった
  • レストランでも、店員が子どもの相手をしてくれる

〈育児用品、教育などなど〉

  • お金を出せば、日本にあるような育児用品はそろう
  • 紙おむつは値段により品質がピンキリで、例えばパンパースも売っているが、日本よりも高価なヨーロッパ製と安価で質のあまりよくないエジプト製があった。
  • セネガルでは、多くの場合、布おむつを使っている → 服を作ったときの残り布を使ったおむつ
  • 短期の滞在であり、子どもが学齢期ではないので、学校のことはよくわからない

〈日本での子育てと比較して〉

  • 母親が一人で子育てをしなくてよい環境なのはうれしい
  • 大家族には大家族の課題があり、日本から行くとなじめない人もいるだろう
  • 連れ合いに聞いたら、セネガルにも核家族はいるかもしれないけれど、すぐに思い当たらないほど少ないとのことだ
  • セネガルの人たちは、大家族が普通なので、悩みを出し合いながらも明るく暮らしていると感じた
  • おむつ交換のタイミング、食べ物、就寝時間などに関しては、日本から行くと気になる人もいるだろう
  • ぬれたおむつを「まだいいでしょう」とつけさせたままのこともある
  • 日本では炭酸飲料を飲ませたことがなかった子どもが、セネガルで炭酸飲料とあめ玉の味を覚えて帰ってきた
  • わざわざ子どもを先に寝かせるという感じではないので、夜の9時・10時に子どもたちが疲れてこっくりしていることもあるが、大人と一緒に遅くまで起きていることもある
  • セネガルで暮らす外国人の中には、ローカルなセネガル料理は子どもには食べさせない、と明言する人もいる
  • 決まった時間になったら、子どもは自分の部屋で一人で寝るように指導している人もいる
  • 大家族のなかで暮らすと、子どももたくましくなるような気がする

〈セネガルの主婦・働く女性〉

  • 子どもの面倒を見ることに関しては、男性もなれているから動いてくれるが、食事の支度などは女性の仕事というジェンダー分業がかなりはっきりしている
  • 女の子たちは食事の支度に借り出されるが、男の子たちは女の子たちがテーブルの準備や料理の手伝いをしている時に、遊んでいる
  • 働く女性もいる
  • 昼休みに自宅へ帰ってきたりするので、家族がそろう機会は日本に比べすごく多い

セネガルでの子育て体験を参加者からも聞きました。

〈Bさん夫妻の体験〉

  • 近所の人に、子どもの面倒見ててねとわざわざ頼んだりはしないが、みんな近所の子どものことを知っていて気が付いたら世話を焼いてくれる
  • 目の届くところに子どもがいなくても、近所のどこかにいて、誰かが気を付けていてくれるという安心感がある
  • 必要があれば、着替えさせたりもしてくれる → トゥンカラさん:連れ合いの実家にも、近所の子が居着いて暮らしていた

〈Aさんの体験〉

  • 二人の話とは違う、セネガルではあまり一般的ではない生活だったのかもしれない
  • 上の娘が通った学校は、公立学校だけれど入試があるという小学校で、セネガル社会では中の上くらいの生活水準の人たちが子どもを通わせている
  • 親たちは学校へ子どもを送り迎えしている
  • 子どもがクラス・メイトの家へ遊びにいく時には、親同士で連絡を取り合って送り迎えをしている
  • 日本の学校へ転校して、娘は半年くらいすごくたいへんな思いをした。
  • 使わなくなるとことばをすぐに忘れてしまうので、仏語圏諸国で暮らしたことのある子どもたちを対象とした教室に月に何度か行かせている。

送り迎えの話から子どもに関わる犯罪も話題になりました。

〈子どもの誘拐事件〉

  • セネガルでも子どもの誘拐事件が起きている
  • 身代金を出せという誘拐ではなく、誘拐された子どもたちは農園などへ売られて児童労働を強いられている

〈考察〉

  • 地域で育てる:日本では、子育てが家族単位になっていて、多くの場合、母親が一人であれこれ考えなければならない。これは問題では?
  • 脱「合理主義」のススメ:日本では、あれもこれもと先取りして便利なもの、合理的なやり方を追求しすぎて疲弊しているところがある。たまには非合理的でもいいのでは?
  • 「人間力」を育てる:日常的にさまざまな人の中で暮らして育つことで「人間力」が培われているように感じる。日本では、どうやって「人間力」を育てようか?

【保育について】

この日、4人の保育スタッフを予定していましたが、二人は体調が良くなかったため欠席でした。

さいわい、この日は学童保育所・保育園で勤務している保育スタッフが2人いたため、講座およびその後のアフリカンキッズクラブ企画運営会議を安心して開くことができました。

保育スタッフを多めに確保することが重要と感じました。

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