AJFの活動

アフリカ農業開発における留意点

2008年に発行した『アフリカの食料安全保障を考える』をウェブ化しました。

アフリカの農民の大部分は自給的小農民(小農)である

  1. 小農とは:家族の生存あるいは生計維持を基本的な目的に自給的な農業生産を行っている農民である。そこで農業(農村)開発の焦点は小農に置いて考える。
  2. 小農と土地制度、調査地を事例として
    1. 東アフリカ ケニア共和国エンブ県とコンゴ民主共和国カバレ郡の事例
    2. この両地域は大まかに見てアフリカの大地溝帯地域をはさんで、東と西に位置する高地赤道帯に存在している(廣瀬、51-52頁図参照)。詳細に見ると気候的にも地形的にもそれぞれ違いがあるが、両地域はエンブ低地を除いてアフリカの中でも水環境に関して恵まれている(廣瀬、50-53頁)。
      土地制度については、ケニア共和国エンブ県では制度的な改革に伴う土地の私有制のもとに自由な耕作が行なわれていた。高地(1600m以上)では一戸当りの耕地面積は1.17ha、低地(1100〜1200m)では8.88haと広い。
      一方、コンゴ民主共和国カバレ郡では伝統的な土地制度が生きていた。すなわち、伝統的王(ムワミ)に対し、一種の忠節、労働、贈り物を捧げることによる封建的な小作制度に似た制度が生きていた。ムワミから家長が長期の土地占有使用の世襲的権利を得て耕作している。ここでの耕作面積は一戸当り0.9〜1.17haの変異があるが、いずれにしても、両地区の耕地面積は小さく、ここで生計を立てている農民は零細な小農民である。

    3. 西アフリカ ナイジェリア連邦共和国ガザ村の事例
    4. 次に事例としてとりあげるガザ村は、ナイジェリア中部ビダ市の南12kmに位置する。年間降雨量は1000mmを超えているが、年により1000mm以下のことも珍しくない。気候的にはギニアサバンナ帯に属している。村は内陸小低地に位置するヌペ人の典型的な水田・畑作複合村で、一戸当りの水稲作面積は約2.0ha(うち0.6haは他村への出作り)、畑作面積は約2.2haである。
      ヌペ人社会およびその土地所有制は現在なお伝統的統治機構であるemir(エミール:イスラームの秩序)制が残っている。ガザ集落の「地主・小作関係」は19世紀以降の歴史的背景をもとに形成されたフラニ(遊牧民)の支配下にあり、一次地主であるフラニはビダ市に居住する不在地主である。この一次地主のもとに在村ヌペ人からなる2人の二次地主がおり、彼らが土地の配分、集落構成員に所与の土地取得の権利、および二次的小作関係に関与している。
      ガザ集落内で、土地に対する構成員の権利は、土地が耕作されている限り耕作者の排外的権利は認められるが、一旦休閑に付されると、二次地主の管理下に戻り、再び耕作者が現れた時点で再配分される。耕作者が死亡した際には、その後継者に同じ土地を引き続き耕作する優先権があたえられるが、一旦耕作が中断されるとその限りではない。また耕作者がさらに第三者に土地を貸与することも一般に認められている。
      次に地代、借地料ともいうべき貢納であるが、農民はまず二次地主、すなわち、在村するヌペ人の土地支配者に低地であれば米、畑地であればソルガム、ヒエ類などの穀物収穫物の一部を届け(その数値は明確に示されていない)、二次地主は自らの取り分を差し引いた後、収穫物の数%〜10%に少量の二次作物(野菜あるいは根菜類)を添えて、現物形態で一次地主に届ける。一次地主は集めた貢納をさらにエミールに上納するかどうかは不明である(増田、1997)。

  3. アフリカ小農民の農業生産を不安定にしている要因に次のものがある。
    1. 農業生産の阻害要因としての気象条件
    2. 土壌環境とその劣化
    3. 砂漠化/土地荒廃とそのプロセス
    4. 戦争・政情不安

  4. 小農民の自助努力なくしてアフリカ農業問題(食料不足、飢餓)の解決は無い
    1. 小農民にとって食料安定生産のための伝統的農法
    2. 伝統的農法とは(廣瀬、45頁)
    3. ケニア・エンブ低地に見られる農法の事例(廣瀬、184頁)
    4. コンゴ・カバレの農法の変化(廣瀬、63頁)
    5. ガザ村低地の地ごしらえ法の7形態(廣瀬、71-75頁)

  5. 食料の調達可能性と生計維持手段(自己保険戦略)
    1. 食料作物の年間供給を可能にする作付体系(耕地あるいは土の中で生産物を貯蔵する)
    2. 生産物の貯蔵と加工(パボイルドライス、キャッサバではチップ、ガリに加工)
      注)ガリ(gari)とは:苦味種のキャッサバに内在するシアン化合物の除去を目的として、すりおろし、脱水、天日(加熱)乾燥し、顆粒にしたもの。なおキャッサバは収穫後数日で生理的・微生物的変質を起すため、生では貯蔵不可能
    3. 狩猟、漁撈、採集(キノコ、食用の野草、樹木の葉)
      例)ナイジェリア・ヤムラート周辺における樹木の利用(林、 1997、表参照)
    4. 農作業カレンダーと収穫に従って主食に供される作物は変化(廣瀬、110〜111頁付表参照)

  6. 非農業収入へのアクセス
    1. 地域内外で労働力を売る(賃労働)
    2. 家内資産の売却(家畜、農具の売却)

  7. 信用による食料、生活費の調達
    1. 親類、近親者から食料を借用する
    2. 商人からの食料、現金の前借(青田売り)

  8. 地域内外への移住と耕作地の拡散

    1. タンザニア中部ウルグル山塊における人口増加と土地不足による低地への耕地の拡大と移住(山根・樋口2005)
    2. ザンビア・ミオンボ林帯でブジミ耕作を行なっている焼畑民の開墾適地の減少に伴う4〜10年に一度の移住(大山2003)

農村開発手法としての「環境資源共生型営農システム」の確立

  1. 「アフリカ農業の改良には近代的技術の導入が不可欠か」
  2. この考え方は、農業の「化学化」、「施設化」、「機械化」さらにもう一つ加えるならば品種改良に関係するバイオテクノロジー(化)がある。しかし、近代化技術の主体は外部投入財の供給によって可能であるが、1980年代に導入された構造調整政策によって小農はその負の影響をもろに受け、外部投入財の供給を受ける機会を消失した(肥料・改良品種種子の購入が困難)。

    そのためアフリカの伝統的農法の持つポテンシャルを十分に生かそうとするのが「環境資源共生営農システム」である。その基本は農民が彼らの生産現場である農地の生態環境の特異性を的確に捉え、現存する生物資源や土壌養分、水分状態を維持・保全すると共に循環利用する。

    1. ナイジェリア北部ギニアサバンナ帯ヤムラート村における平均家畜飼養頭数は牛6頭、ヤギ・ヒツジ23頭であるが、その飼料は作物残渣、樹木(低灌木)の葉および雑草に依存しており、それから得られる糞は堆肥として一戸当り平均1.5t/ha還元(林・廣瀬、2002)
    2. ナイジェリア・ギニアサバンナ帯の農耕民は遊牧民フラニにキャンプ地を提供し、農耕民は耕地への糞の提供を受ける。農耕民は周辺耕地で穀物茎稈を高刈し、家畜の飼料になるように配慮し、農耕民と遊牧民の共存を図る

  3. 農村開発の留意点は農耕技術の改善だけでなく、環境保全、保健医療、教育を包含した生活環境改善、インフラ整備(道路、貯蔵庫、製粉・精米所の、配電)が必要。
    1. 水資源の確保は農業用水のみならず生活用水(人、家畜)としても不可欠、特にギニア、スーダン・サバンナ帯での井戸、ため池、貯水タンク、さらには小規模灌漑のための水源開発が必要
    2. 現存する浅井戸の硝酸態窒素による汚染の浄化、およびより深い帯水層の探索と掘削
    3. エイズ等伝染性疾患の蔓延は農村の貧困、教育の貧困による

  4. 内陸集水域(内陸小低地)はアフリカで8500万ha(アフリカ低湿地の36%)存在し、このうち西アフリカでは約2000万haに灌漑水田としてのポテンシャルが存在する。内陸小低地の周辺はアップランドからなり、そこで持続的生産を可能にするためには、アップランドにおけるアグロフォレストリー(樹木作物と畑作物の混植と牧畜)に水田システムを結合した営農システムの確立がアフリカ農業生産の一つの方向(若月1997, 2000, 2002)である。さらに、このシステムの確立は森林破壊、砂漠化、土壌劣化の防止、環境保全にも貢献する。
  5. 「ネリカ品種」の普及をどう考えるか
    1. アフリカのコメ需要の増加にともない、今後その傾向は拡大することが予想される。西アフリカではガーナ、ギニア、コートジボワール、ナイジェリアでその傾向は顕著である。
    2. ネリカ種はアフリカ稲とアジア稲との間の種間雑種であり、現在普及に供されている品種は陸稲型のネリカ1〜7で、栽培期間が短く(30〜40日)、雑草との競合に強く、貧栄養条件にも強い。さらに無肥料でも在来種より3〜5割の増収ができ、タンパク質含量で2〜3割高い。しかし、ネリカ種が陸稲として畑地、焼畑耕作で無肥料栽培されれば、土壌保全は不可能、土壌劣化の進行が危惧される。
    3. もし水稲型ネリカ種が育成されれば、水田造成と適切な水と肥培管理によって5t/ha程度の収量増が期待可能である。ただ西アフリカではこの程度の収量を上げうるIRRI品種が既に一部で導入、育成が期待される水稲型ネリカ種の役割をどこに置くか(アフリカ特有の養分欠乏に対する耐性、病害抵抗性など)。
  6. 雑穀作物および根菜類の品種改良と作付体系の確立
    1. サブサハラ・アフリカで栽培されている雑穀類のうちアメリカ大陸原産のトウモロコシは東・西アフリカを問わず主食料作物として重要。一方根菜類でもアメリカ大陸原産であるキャッサバの生産量はアフリカで世界生産量の50%以上を占め、特にナイジェリアの生産量は1990年以降急激に増加している。
    2. アフリカにおけるキャッサバは、特に乾燥、低質土壌条件下で生育可能な作物であり、品種にもよるが収穫せずに土中で3〜4年貯蔵可能、この特性は劣悪条件下で農民の食生活を支えることを可能にし、そのため人口増加のために従来人の住めない劣悪地への移住を可能にする。
    3. アフリカ原産穀類のうち耐乾性を有するトウジンビエ、シコクビエ、モロコシ、ササゲは乾燥地で有用、これら作物の品種改良と作付体系の組み立ては今後の課題(廣瀬、101〜124頁)である。

営農システム(廣瀬、77〜96頁)

  1. 営農システム:ある世帯単位が営む農業的および非農業的活動の比較的安定したパターンのこと、そして、世帯単位がかかわる諸活動は営農システムの構成部分をなし、世帯単位の活動外で起きる諸活動は営農システムの環境をなすと定義される(コールドウェル2000)。この定義は農家世帯でそれぞれ独特のものであるとの考えに由来するが、ある特定の国、地域・村・集落レベルでの各農家のシステムは世帯内部の要因のほかに、外部要因である自然、社会・経済・文化的環境のもとで、多数の農家世帯に特徴的なある種の共通した体系に類別でき、これが営農システム類型で、この類型化は四つの基準で分類可能である(同、2000)。
  2. アフリカの営農システムとその持続性(オキボ、 1990)(廣瀬、83頁)
  3. 作物中心の営農システム:ウエブスターとウイルソン(1980)は西アフリカの事例として、次の四つを上げている。
    1. 天水依存による畑作物栽培
    2. 湿地あるいは氾濫原での天水稲作と簡易な施設をもつ灌漑水田稲作
    3. 多年生作物および換金作物の単一栽培
    4. 畜産の比重が高い農牧システム

  4. 作付体系:作物を中心にして、地域特有の自然環境要因のもとで、そこに存在する植物素材(作物素材)を時間的、空間的に配置し(栽培)、有用な農業生産量に転換する農法である。
    1. 農法としての作付体系(前田、1986)(廣瀬、99頁)
    2. 西アフリカにおける作付体系の事例(廣瀬、101〜124頁)
    3. アグロフォレストリーとは:基本的には「同一の土地を、林業と、農業・畜産業・水産業が、同時に、あるいは、交代で利用し、産業の幅広い組合せで、土地面積あたりの総生産量を増加させる持続的土地利用形態」(渡辺、1998)

以上、(廣瀬、頁)としたのは『国際協力成功への発想』の頁を示す。

【参考文献】

廣瀬昌平ほか『農耕空間の多様と選択』大明堂、1995, 農耕文化研究振興会編

田中明編著『熱帯農業概論』築地書館、1997, 共著

廣瀬昌平・若月利之『西アフリカ・サバンナの生態環境の修復と農村の再生』農林統計協会、1997, 第1回国際開発研究 大来賞受賞

高村泰雄・重田眞義(編著)『アフリカ農業の諸問題』京都大学学術出版会、1998, 共著

Hirose S. and Wakatsuki T. (eds.), 『Restoration of Inland Valley Ecosystems in West Africa』農林統計協会、2002, Hirose S. and Wakatsuki T. (eds.)

廣瀬昌平『国際協力成功への発想―アジア・アフリカの農村から』農林統計協会、2006, 単著


「アフリカ農業開発における留意点」用語集

主として氏の著書『国際協力成功への発想』(農林統計協会、2006年)からキーワードを取り上げ解説する。

  1. エコテクノロジー
  2. 近代的科学技術を導入しつつ、地域の環境とそこに根付いた伝統的技術、さらに地域特有の生物資源との調和によって築かれた持続可能な営農システムのもと、環境との調和を考えた21世紀の農業技術。[廣瀬昌平]

  3. 顔の見える援助
  4. 農民・農村に直接役立ち、利益を与えるような住民参加型農業・農村プロジェクトを行う。トップダウン方式からボトムアップ方式への転換。農民の意向を汲み上げ、「現地の声」を直接援助提供者に伝えることである。[廣瀬昌平]

  5. 技術協力
  6. 現地の自然、社会・経済環境を理解し、それに適応してきた在来技術の存在理由を農民に学び、農民のニーズを知り、彼らとともに技術の改良を組み立て、彼らの自助努力を引き出すこと。[廣瀬昌平]

  7. 近代的農業
  8. 生産性重視技術である施肥、多収性品種の導入、作付け様式の単純化、単一作物の連続栽培などのこと。エネルギー過剰投下による集約化技術である。[廣瀬昌平]

  9. 栽培技術(農法)
  10. 栽培技術は、自然および社会・経済的環境のもとでの、土地と作目への労力や生産手段の投入から成り立っている。環境条件の下、農民は持っている有効な技術によって環境を管理・制御しながら、地域に存在する資源と組み合わせ、循環させる農法を生み出してきた。[廣瀬昌平]

  11. 砂漠化
  12. 砂漠化の要因としては主に3つあげられる。一つは、エコシステムの変化により気候変動、降水変動が起こり、地形、土壌、植生へ影響する。二つ目は、人間によるインパクトである人口増加、過剰伐採、過剰放牧、火入れ、塩類化などにより耕地の劣化をもたらす。最後に、社会・経済インパクトである都市化、工業化、戦争は生態系の劣化を加速する。
    砂漠化によってもたらされる悪影響は、食料不足、飢餓、疾病蔓延、燃料材の不足、集団的移動、難民増大、民族間抗争など社会経済的な影響である。[廣瀬昌平]

  13. 小規模農民
  14. 地域間において、「小規模農民」の定義は異なる。アフリカにおける小規模農民とは、所有する農地が2ha以下であり、簡易な農機具を用いた伝統的農法で自給自足的農業を行っている人々のことである。[JICA]

  15. 低投入型技術(在来性ポテンシャルの活用)
  16. 低投入型技術とは、伝統的技術を生かした「在来性ポテンシャル」を活用した農業である。「在来性ポテンシャル」とは、農村が持つ生態・社会・文化の相互関係の歴史的な累積体であり、その累積体が持つ多面的な潜在能力・可能性のことである。在来の資源・技術・知識・知恵・制度などのポテンシャルに着目することにより、近代的技術を過度に投入することなく地域環境資源の活用と循環を図る。 [荒木美奈子(お茶の水女子大学)、伊谷樹一・掛谷誠(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)]

  17. 適正技術
  18. 地域資源の利用・循環によって環境を保全し、生産性、収益性を豊かにする持続可能なエコテクノロジーのこと。@農民が何を望んでいるか、Aそのおかれた自然的、社会・経済的環境の理解を通して、B地域の伝統的技術をどのように改善するかが最重要である。[廣瀬昌平]

  19. 伝統的農業
  20. 地域の生態環境に合わせて成立している農業のこと。地域の環境(自然・社会・経済・文化)のなかで、あるいは変化する条件のもとで農民が知恵を絞り、試行錯誤のうえに築き上げ、継承してきた、生産性は低いが安定した農法・技術から成り立っている。近代的農業に相対する分類法。[廣瀬昌平]

  21. 土壌肥沃度
  22. 土壌肥沃度とは、土壌に含まれる有機物や粘土鉱物など植物生育に必要な元素を供給する能力に関する土壌の状態のこと。土壌肥沃度は、もともと樹木や下草などの自然植生を介する養分循環によって維持されてきた。近年、人口増加 に伴う食料増産の必要から、休閑期間をせいぜい4〜5年間に短縮せざるを得なくなり、その結果、自然の回復があまりあてにできなくなってきている。そうなれば、他からの養分の補給、特に肥料の使用によって農業生産を維持する必要がでてくる。[国際土壌肥沃度管理研究所]

  23. ネリカ米
  24. アフリカには、西アフリカの原産のアフリカ稲があり、アフリカの気候・土壌条件に適した稲として栽培されていた。乾燥に強く、病害虫にも抵抗性があったが、単収が低く食料不足が生じた。これを改善すべく西アフリカ稲研究所は、アフリカ稲と単収が高いアジア稲との交雑により新品種の改良に取り組み、感想と酸性土壌に強く、雑草との競合にも強い品種が開発された。ネリカ米の問題としては、干ばつに弱く、厳しい乾燥下では大幅に収量が減少(0.2〜0.3t/ha)するおそれがあるため、水管理による普及とともに推進することが適当と考えられる。[FAO] 土壌肥沃度管理研究所]

  25. 半乾燥サバンナ帯の緑化
  26. 半乾燥サバンナ帯は、サヘル地域などに見られる気候であり、西部からモーリタニア、セネガル、マリ、ブルキナファソ、ニジェール、チャド、があげられるが、東部のエチオピアやスーダンを含む事もある。年間降水量は100mm〜600mmと少ない半乾燥地で、しかもその降水量は年によって変動がある。このサヘル地域での砂漠化は深刻であり、この地域の砂漠化防止を主目的として、1977年ケニアのナイロビで国連砂漠化防止会議(UNCOD)が開催された。各国は、「砂漠化防止行動計画」に基づき、防止対策を立てたが、1983年と1984年激しい干ばつと飢餓に見舞われてしまった。砂漠をもたない日本でも、このサヘル地域での砂漠化を契機とし、砂漠化に関する関心が高まった。[国立環境研究所]

  27. 緑の革命
  28. 1960年代、近代的技術を推進するべく高収量性品種(HYV)、化学肥料・農薬をアジアの発展途上国へ普及することによりアジア農業技術の劇的な改変をし、増収・自給率の達成ができた。しかし、その効果は持続せず、1980年代以降は大量の農薬投入から土壌肥沃度低下、水質汚濁などの環境破壊、工業化・機械化による伝統的農村社会の慣習が崩壊するなどの被害をもたらした。[廣瀬昌平]

【用語集の参考文献】

廣瀬昌平(2006) 「国際協力成功への発想−アジア・アフリカの農村から−」農林統計協会

荒木美奈子(2006) 「地域開発と「在来性ポテンシャル」−タンザニア南西部マンテゴ高地における開発プロジェクトの事例から−」 第43回日本アフリカ学会資料 P64 

池谷樹一・掛谷誠(2006)「「在来性のポテンシャル」再考−農村開発への一視点」

第43回日本アフリカ学会資料 P69

国際土壌肥沃度管理研究所 http://ss.jircas.affrc.go.jp/kankoubutsu/news/JIRCAS_news/2000/No.23/11.html 最終閲覧日2006年6月21日(2011年8月11日現在 閲覧できず)

国立環境研究所 http://www.nies.go.jp/ 最終閲覧日2006年6月21日

JICA http://www.jica.go.jp/ 最終閲覧日2006年6月21日

FAO http://www.fao.or.jp/special/nerica.pdf 最終閲覧日2006年7月5日(2011年8月11日現在 閲覧できず)

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