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プレスリリース
「プロサバンナにノー! 全国キャンペーン」

日本にもプロサバンナ事業の問題を訴えるために2度にわたって来日したUNAC(モザンビーク全国農民連合)始めとするモザンビークの農民組織・市民団体が開始したキャンペーンのリリースです。


2014年6月2日(マプート発)

2013年5月、市民社会組織20以上の市民社会組織、社会運動、小農組織、環境および宗教組織、並びにナカラ開発回廊の家族・コミュニティは、モザンビークおよびブラジルの大統領と日本の首相宛の「プロサバンナ・プログラムの緊急停止と再考を求める公開書簡」に署名し、提出した。

プロサバンナは、上記3政府が参加する「三角」協力プログラムである。また、1,450万ヘクタールを超える対象地域において、ブラジルと日本のアグリビジネスが 土地をモザンビーク政府から手に入れ、北部のナカラ開発回廊と呼ばれる地域で、大豆、トウモロコシ、ひまわりと綿花のモノカルチャー(単一作物)栽培を行うものである。ナンプーラ、ニアサ、ザンベジ州の19の郡がこのプログラムの実施地とされている。

「公開書簡」は、この巨大パートナーシップ事業の主体である三カ国の首脳に宛てられており、その主要な目的は、プロサバンナを直ちに停止させ、深く広範で、透明かつ民主的な公開の議論を行うことにあった。このプログラムは、数百万の「現在の」市民だけでなく「将来の」世代にも、社会・経済・環境の面で大きな悪影響を直接・間接的に及ぼす可能性があり、したがってそのプロセスには広く国民の参加と協議が不可欠である。この(プロサバンナ)ブログラムに関する情報へのアクセスへの(知る)権利は、何にも代えがたい国民の基本的権利でもある――と(「公開書簡」は)指摘する。

同「書簡」はまた次のことを非難している。提供された情報は不十分で、入手できる情報は限られているものの、そこにみられる数えきれないほどの食い違いと矛盾は、この(プロサバンナ)プログラムの基本構想が取り返しのつかない欠陥をもって設計されたことを裏付け、立証している。また、公衆の参加と協議の手続きとされているものは深刻な不正に彩られている。さらに農民は、これ(プロサバンナおよびその当初の基本構想)により、土地収奪の深刻な脅威にさらされ、農民とコミュニティが現在使っている土地からの強制立ち退きも計画されている。

このような「プロサバンナ・プログラムの緊急停止と再考を求める公開書簡」を発表・提出してから一年が経つが、(3か国政府からは)未だ回答はない。モザンビーク社会の多様な層からの批判と要請にもかかわらず、プロサバンナは継続されており、しかも当初の構想の非を認めることもないまま、その形にこだわり続ける形で推し進められている。モザンビーク政府は、農業省を通じて、このプログラムに対する多数のモザンビーク国民男女の正当な要請と要求を無視し続けてきたのである。

これまで繰り返し目の当たりにしてきたように、プロサバンナでは、悪質な秘密主義が蔓延し、同プログラムが作成する文書には恒常的な情報の削除や改ざん・操作、意図的な不一致が明白であり、今もこうしたことが続いている。また小農組織のリーダー、社会運動や市民社会組織の代表者、活動家に対し、プロサバンナの企画者や実務家による脅迫や強要が多数実行に移されている。

私たちは、プロサバンナを停止させ、新植民地主義的な多国籍企業の小農の土地への侵入を食い止めるため、本日、2014年6月2日に、「全国キャンペーン プロサバンナにノー(CAMPANHA NACIONAL NAO AO PROSAVANA)」の開始を公表する。このイニシアティブは、小農らが直面する土地に対する侵略、収奪、商品化、私有化の危険に立ち向かい、私たちの天然資源を守るための闘いを強化するためのものであり、市民社会組織と小農運動による共働を目指すものである。

「全国キャンペーン プロサバンナにノー」を開始することで、この闘いが国民全体のアジェンダ(議題)となることを目指す。このキャンペーンは、プロサバンナ推進のプロセスにおいて、当初計画されたもの(現在はプロサバンナ外で行われているもの)、そして実際に(プロサバンナで)実施されることとなったものを含む、すべての活動と計画(例えばマスタープラン[PD]と開発モデル策定プロジェクト[PEM])を停止させ、無効化することを主要目的とする。以上によって、私たちは、「公開書簡」が現在でも有効であることを再確認するとともに、同「書簡」で述べられているにもかかわらず未だに回答されることがない小農の要求と懸念の数々を、改めて表明したい。

このキャンペーンは次のことを計画する。

  • プロサバンナに反対する市民社会組織、リーダー、活動家らに対する、すべての形態の操作(ごまかし)、「一本釣り」や脅迫、犯罪的行為の企みを糾弾し、拒絶する。

  • プロサバンナ(とその当初想定事業)によって引き起こされる土地の侵略と収奪、環境汚染に対し、小農およびコミュニティの広範な動員、組織化、民衆的抵抗を推し進める。

  • プロサバンナに関与する諸国家・国際(協力)諸機関に、その行為に関して責任を取らせる。そのため、国内および国際的な司法の場で、公衆の利益のためのプログラムにもかかわらず進行中の情報秘匿に関し、法的な手段に訴える。また、全国人権委員会やオンブズマンなどの司法メカニズム外の諸機関に対し、現状への抗議と告発を提起する。

  • モザンビーク政府に対し、すべての人が参加でき、広範で民主的な公式の対話の仕組みを設置することを求める。この仕組みは、モザンビーク社会のすべての層(小農男女、農村コミュニティ、宗教組織、市民社会組織)が参加できるものでなくてはならず、またこの国(モザンビーク)の(人びとの)発展主権のため、(これらの人びとにとっての)真のニーズ、願望、そして行動計画とアジェンダにおける優先順位を議論することを保証するものでなければならない。

  • 最後に、私たちは、すべての小農運動、環境運動、社会運動、市民社会組織、農村コミュニティ、そしてすべての市民を本キャンペーンに招待するとともに、(これらの運動・組織・人びとに対し)広範な動員を呼びかける。また、土地・水・資源および共通の文化的・歴史的遺産の管理に関する私たち自身の権利と利益を守る闘いのため立ち上がり、全国的な民衆運動を作り上げ、組織化することを呼びかける。プロサバンナの対象となるすべての人びと、あらゆる社会・環境的な不正義に立ち向かう人びとに、強力かつ断固とした抵抗を呼びかける。


  • 2014年6月2日 マプート市

    Uniao Nacional de Camponeses-UNAC(モザンビーク全国農民連合)

    Liga Mocambicana dos Direitos Humanos-LDHM(モザンビーク人権リーグ)

    Justica Ambiental-JA(環境正義)

    Accao Academica para o Desenvolvimento das Comunidades Rurais-ADECRU(農村開発のためのアカデミック・アクション)

    Forum Mulher(女性フォーラム)

    Actionaid Mocambique(アクションエイド・モザンビーク)

    Associacao de Apoio e Assistencia Juridica as Comunidades-AAAJC(コミュニティへの法的支援協会)

    Livaningo (リバニンゴ *環境団体)

    Kulima (クリマ *農村開発支援団体)

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