アフリカ熱帯林の現状と日本との関係

中央アフリカ共和国の報告、ザンガ・サンガ国立公園に安全が取り戻されたと伝える


WCSの記事を、AJFが要約して翻訳・紹介するものです。引用する際には、原文にあたってください。
Reports from the Central African Republic Indicate Security Has Returned to Dzanga-Sangha National Park

中央アフリカ共和国の報告、ザンガ・サンガ国立公園に安全が取り戻されたと伝える

Wildlife Conservation Society 2013年5月19日

Newswise―ニューヨーク(2013年5月18日)
先日来、象牙目的の大規模な密猟に脅かされている、中央アフリカ共和国の保護区域の管理向上のための支援にガボンが合意し、ザンガ・サンガ国立公園に安全が取り戻されたことを受け、本日Wildlife Conservation Societyの代表であるクリスチャン・サンパー氏より、以下の声明が出された。

5月初め、サンガ3か国保護区複合圏の一部である、中央アフリカ共和国のザンガ・サンガ国立公園にて少なくとも24頭のゾウが殺害された。ザンガ・サンガ国立公園は、毎日50頭から200頭のゾウが土壌内にあるミネラル塩を飲みに集まってくる、「ザンガ・バイ」という見事な湿地帯を含んでいる。

サンパー氏の声明は、ガボンより出された情報に基づく。

WCS代表、クリスチャン・サンパー氏は以下のように述べた。

「広範囲に渡るゾウの密猟の報告の後、ガボンと中央アフリカ共和国がCARの保護区域の管理向上のために共働することに合意し、ザンガ・サンガ国立公園より大きな安堵をもたらす良いニュースが訪れました。」

「私たちは、リーダーシップを見せてくれた中央アフリカ共和国暫定政府のミシェル・ジョトディア大統領代行と、ガボンのアリー・ボンゴ・オンディンバ大統領に感謝の意を表します。」

「さらに私は、Wildlife Conservation Societyに所属するSenior Conservationistで、ガボン大統領の特別顧問を務めるマイク・フェイ教授率いる、ガボン公園からのチームに、保護区域や世界的に有名なゾウを救うべくパートナーと共に働いていただいたことに、感謝と祝辞を述べます。」

「WCSは、中央アフリカの人々と野生生物のためのより良い未来のために働いている、政府やCARの人々、ガボンの私たちのパートナー、米国(合衆国)、ザンガ・サンガの長期的パートナー、そしてWWFを支援する態勢にあります。」

以下はガボン政府によるニュースである。

主題:中央アフリカ共和国の保護区域の法的・制度的・運営上の管理の確立のためのANPNによる支援における、ガボンと中央アフリカ共和国間での合意

(リーブルヴィル、2013年5月17日)
2013年5月14日水曜日のガボン到着の日、中央アフリカ共和国暫定政府大統領代行、SEミシェル・ジョトディア氏は、ガボン大統領、HEアリー・オンディンバ氏に迎えられた。地域の平和維持軍の中でのガボン部隊の重要な役割を含む、重要な課題が議論された中で、ミシェル・ジョトディア氏は、近日の大規模な象牙目的のゾウの密猟に脅かされている、中央アフリカ共和国の保護区域の管理改善におけるガボンの支援を求め、それを得た。

今月初め、中央アフリカ共和国南西部に位置する世界遺産ザンガ・サンガ国立公園内の「ザンガ・バイ」の森林にて、少なくとも26頭のゾウが殺害された。 ザンガ・ンドキ国立公園は、毎日50頭から200頭のゾウが土壌内にあるミネラル塩を飲みに集まってくる、世界でも希少で広大な森林湿地帯「ザンガ・バイ」を含んでいる。

「初めてザンガ・バイを訪れた時、私は直様、世界で最も素晴らしい世界の自然の不思議の一つの虜になりました。」と、ANPNの幹事であるリー・ホワイト教授は述べた。「ここはすべての人間が、生涯の中で目にすることができるはずの場所の一つです。世界遺産として公式に認められている、ザンガ・バイのような世界の自然の宝を失おうものならば、私たちの世界は完成しないでしょう。」と彼は続けた。

この数週間にわたり、この地域は、中央アフリカ共和国の法と秩序が崩壊したことにより、密猟の重圧を受けた。 これらの襲撃のうちのいくつかは、この状況を利用した地元の密猟者によるものであった可能性もある。

共和国大統領の特別顧問で、Wildlife Conservation SocietyのSenior Conservationistであり、さらに30年前のザンガ・ンドキ国立公園の分類に参加したNational Geographic Societyの駐在探索者も務めるマイク・フェイ教授率いるANPNの派遣団は、5月16日木曜日、地域を守り保護活動を回復するために政府と共に戦略を立てるべく、中央アフリカ共和国のバヤンガへ、急派された。The Last Great Ape Organization(LAGA)、The Aspinall Foundation、そしてWildlife Conservation Society(WCS)もまたこのミッションに参加した。

今朝、派遣団は安全が取り戻されたことを報告した。バヤンガの政府当局は、近辺で状況を監視し、これ以上の密猟が起こらないよう、保護スタッフと共に働いている。

「保護の回復活動と保護能力の増大に、本格的に着手しなければなりません。」と、US Fish and Wildlife Serviceのリチャード・ルッジェーロ教授は述べた。「いくつもの保護拠点が地域統治の改善を示すものになって以来、私たちが何年にも渡ってゾウと人々を保護してきた経験から明らかです。国際的な協力は人々と野生生物を助けます。」

ガボンの国立公園局の経験を共有する。 ガボンと中央アフリカ共和国の協力は保護区域の管理の奨励を意図するものであり、さらに以下のことにも取りかかる。

  • 保護区域の発展と管理から挙げられた課題に応じるための、法的、制度的枠組みの確立

  • CARの国立公園局の発展

  • 保護区域の保護と管理に携わるスタッフの育成

  • 経験を共有し、国境を越えた密猟の脅威に取り組み、世界の保護団体との有益な協働を発展させるべく、 他国における中央アフリカ地域の保護プログラムとより良い関係を確立

「この合意は「南と南の協力」の素晴らしい例です。」とリー・ホワイト教授は述べた。「この10年でアフリカは、森のゾウの70%を失っており、影響の少ないガボンでも、この10年で30%のゾウが殺されています。私たちは、アフリカで最も重要な保護区域の一つであるザンガ・サンガを保護し、かつて国の誇りであり喜びであった他の保護区域も回復するべく、CARの仲間を支援することが出来るよう願っています。」

ガボン大統領のアリー・ボンゴ・オンディンバ氏は、ECCAS、COMIFAC、RAPACといった現地機関、そしてNGO保護団体が、この課題に応じるべくガボンや中央アフリカ共和国と共にあることへの願いを表した。

「この問題をただの環境問題以上のものとしている明白な繋がりが、血塗られた象牙とアフリカの社会不安との間にあります。私たちは、人々と素晴らしい野生生物の両者を救うCARの堅固な統治を回復するべく皆協力して動くべきです。


独立行政法人環境再生保全機構より平成24年度地球環境基金助成金を受けて実施した「アフリカの熱帯林の環境保全と日本をつなぐ生物多様性保全の教育・普及活動」のフォローアップの一環としてこのページを作成し、公開しています。

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