アフリカ熱帯林の現状と日本との関係

オバマ大統領、象牙密猟者たちに宣戦布告


The Vancouver Sunの記事を、AJFが要約して翻訳・紹介するものです。引用する際には、原文にあたってください。
Obama declares war on ivory poachers

オバマ大統領、象牙密猟者たちに宣戦布告

The Vancouver Sun 2013年7月2日

象牙取引は世界中で禁止されているにもかかわらず、象牙とサイ角のトラフィッキング(密輸・売買)が「国際的な緊急事態」となっているとオバマ大統領は言う。この発言に続き、オバマ大統領はアフリカの絶滅危惧種保全のため1億米ドルを寄付すると発表した 。この寄付金は密猟者と密売人の犯罪組織の追跡のために使用される。サイ角は1キロあたり闇市で6万米ドルの値打ちがある。1979年以来、世界の象の数は130万頭から42万3千頭に減少し、森林やサバンナに深刻な影響を与えている。

Even though ivory has been banned worldwide, illegal trafficking of elephant and rhinocerous tusks is an 'international crisis', says US president Barack Obama. This has led Obama to put forward $10 million to help protect Africa's endangered species. This money will go towards tracking poachers and organized crime syndicates that are responsible for the trafficking. One kilogram of a rhinoceros' horn can go for US $60,000 on the black market. The global elephant population has fallen from 1.3 million to about 423,000 from 1979. The loss of these animals can have a serious impact on the health of forests and savannahs.

以下記事全訳


1989年の世界的な象牙輸入禁止措置に関わらず、象牙やサイ角の違法取引件数が益々増加している。

オバマ大統領はこのアフリカを象徴する2種の動物が絶命する恐れがあることを「国際的な緊急事態」だと主張した。

現在アフリカ訪問中のオバマ大統領は月曜の陳述の中で、密猟は「小規模で日和見主義の行動を越した、武装組織化した犯罪同盟による組織立った虐殺」により増加していると述べた。

彼は続けて「生存している保護された野生生物種、例えばゾウやサイ、大型類人猿、虎、サメ、鮪や亀などは、全世界にとって有益な経済的、社会的、環境的影響力を持ち、全世界にとってとても重要なものである」と付け加えた。

このような理由から、オバマ大統領はアフリカの絶命危機動物保護、密猟追跡、また違法取引を行う組織化した犯罪同盟を取り締まるために、1億米ドルを寄付する行政指示のための調印を行った。彼はまた、主にダルエスサラーム港から出港される違法輸送の追跡をするため、合衆国魚類野生生物局の職員をタンザニアに配置することを発表した。

月曜、合衆国安全協議会のアフリカシニア局長のグラント・ハリスは、現在サイの角はブラックマーケットでは1キロ6万ドルで販売されていると述べた。

それらは事実上、サイの体重と同じ重さの金よりも価値がある存在だと記者に話した。彼によれば、ゾウの角は1キロ当たり2千ドルで販売され、両動物の角・牙の違法取引額は1年間でおよそ70億から100億ドルに上る。

ウガンダ、スーダン、ソマリア、ダルフールのアフリカ民兵は密猟によって得た豊富な収入を拳銃購入に充てていることが報告されている。国際保護団体によると、およそ3万頭のゾウが毎年虐殺されている。2011年には23トンの違法象牙が押収され、それは2500頭のゾウに相当する。全世界のゾウの頭数は1979年には130万頭だったのに対し、現在は42万3千頭まで減少してしまっている。

ゾウの減少は森林やサバンナにおいて、著しくマイナスの効果をもたらすことを生物学者は危惧している。「彼らはキーストーン種なのです。」ワシントン大学生物保護センターのサム・ワッサーは続けた。「彼らはサバンナでは森林を抑制しつづけ、また熱帯雨林の木々にとっては最も重要な種の分散者なのです。中央アフリカの森林は、炭素を取り込み蓄えるという点で、世界中で2番目に重要な地域です。」

違法象牙貿易のおよそ70パーセントを占める中国が非難される一方、米国はその次に続く大量消費国である。合衆国魚類野生生物局によると、米国人は象牙を拳銃やナイフの柄、また武器などの細工装飾に使用している。オバマ大統領はアメリカ国内での需要の縮小を約束した。


独立行政法人環境再生保全機構より平成24年度地球環境基金助成金を受けて実施した「アフリカの熱帯林の環境保全と日本をつなぐ生物多様性保全の教育・普及活動」のフォローアップの一環としてこのページを作成し、公開しています。

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