アフリカ熱帯林の現状と日本との関係

日本で開催されたTRAFFICシンポジウム、CITESへの注目を呼びかけ、サメについて議論


TRAFFICの記事を、AJFが翻訳・紹介するものです。
引用する際には、原文にあたってください。
TRAFFIC symposium in Japan celebrates CITES and sparks dialogue on sharks

日本で開催されたTRAFFICシンポジウム、CITESへの注目を呼びかけ、サメについて議論


TRAFFIC 2013年8月27日

東京−日本

先週東京で、CITESの40周年を記念して、サメ類の責任ある利用を困難にする問題を議論するシンポジウムが開かれた。

TRAFFICが主催したこのシンポジウムは、日本の衆議院議員であり自由民主党の環境部会長である北川知克氏と、外務省の杉中淳氏のあいさつで開始された。

基調講演を行ったCITESのJohn Scanlon事務局長は、約200名の聴衆に向けて、条約の役割と仕組みを詳しく説明した。Scanlon事務局長に続き、政府や研究者、保護団体や漁業団体を含む様々なバックグランドの人々がプレゼンテーションを行った。

このイベントにおける主な狙いは、持続不可能な野生生物取引を取り巻く問題に関する日本国内の人々の関心を再度高めること、および各ステークホルダー間での対話を促すことだった。シンポジウムの大半が、歴史的に日本での政策論争の火種となってきた漁業問題にあてられた。

Opening Statement

基調講演の中で、CITESのJohn Scanlon事務局長は、CITESのこれまでの成果と、1980年の条約加盟以来のCITESの長期的なサポーターとしての日本の貢献に焦点をあてた。それに続き、Scanlon事務局長は、今年初めにタイのバンコクで開かれたワシントン条約締約国会議で達成された重要な進展を紹介した。数多くの材木種、海洋生物種としてはマンタ全ての種、日本の主な関心の対象でありまた熟知している何種類かのサメが、CITESのリストに載ったのである。日本はサメのリスティングに関しては保留しているものの、保護のための技術支援の提供を申し出ている。最後に、ゾウとサイが直面している危機に緊急に対処するための方策に関する決定が紹介された。

Scanlon事務局長は、外務省の杉中氏が言及したCITESへの新しい加盟者に援助を提供するという日本の新しいイニシアティブを歓迎した。サメのリスティングについてScanlon事務局長は、「日本は関係省庁と民間セクターの双方が、漁業について深い経験と知識を持っており、私たちは、漁業者や可能であれば民間セクターや非政府団体を含む関係機関と、これらの決定の実行支援において共働することを切望しています。」と述べた。

Wildlife trade

TRAFFICの藤稿亜矢子博士は、違法な野生生物取引の世界的な動向と、日本がそれに対する取り組みを進めるにあたって果たしうる役割について話した。

「日本は、ここ数十年間で象牙とサイ角の国内需要の削減に成功した、という自身の経験から得た見識を提供すること等を通して、各国が野生生物取引に対処する手助けをする上で、大変能動的な役割を果たすことができます。」と、藤稿博士は述べた。「さらに日本は、人材育成やその他の課題への手助けのために、発展途上国へ資金および技術的支援を提供することも望まれています。」とも語った。

国内状況に関して、CITESにリストアップされている製品の日本の出入国管理や、国内取引を定めている国の法律の概要といった最近の日本の動向が、日本のCITES管理当局である経済産業省と、日本のCITES に関する科学的支援機関の一つである環境省によってそれぞれ紹介された。後者は、日本の法制度の下で罰則と規制を強化するために、最近法律を改正したことに言及した。

Fisheries

一連の多岐に渡るプレゼンテーションに続く“責任あるサメの管理”についてのパネルディスカッションは議論が沸騰した。国際レベルでは、TRAFFICのFisheries Trade ProgrammeのGlenn Sant代表と日本の漁業当局の両者が、実践的なCITESによる取引規制の重要性はじめ、効果的なサメの管理に必要な方策について話した。

草の根レベルからの観点が、気仙沼遠洋漁業協同組合の代表によって紹介された。気仙沼は、サメの水揚げにおける日本の主要な港で、2011年の津波と地震災害によって壊滅した。漁業と水産物加工業の再建の一環で、気仙沼はサメ漁の追跡可能性と持続可能性に注目している。代表者は、海外メディアが気仙沼のサメ漁に対して塗布した好ましくないイメージに関して強い遺憾の意を表し、持続可能な漁業であると認識されるよう遠洋漁業業界が継続的に努力していることを強調した。彼の見解は、北海道大学のサステイナビリティ学研究センターの研究者とも関連していた。

このイベントの特に重要な成果は、いくらかの観点や優先事項の違いはあるものの、持続可能なサメ漁の達成は、国際的、全国的、そして日本の地域レベルで共有される長期的な目標であるという共通認識だ。全てのステークホルダーが、責任ある漁業管理や取引を可能にする適切な追跡可能システムの開発等を通して、この目標達成に向けて協調する必要がある。シンポジウムは、これらの成果がどのように達成されるのを共に探求しようという友好的な雰囲気の下で終了した。



独立行政法人環境再生保全機構より平成24年度地球環境基金助成金を受けて実施した「アフリカの熱帯林の環境保全と日本をつなぐ生物多様性保全の教育・普及活動」のフォローアップの一環としてこのページを作成し、公開しています。

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