アフリカ熱帯林の現状と日本との関係

オバマ政権、象牙ストック処分へ


TIME.comの記事を、AJFが翻訳・紹介するものです。
引用する際には、原文にあたってください。
Obama Administration to Destroy Ivory Stockpiles

オバマ政権、象牙ストック処分へ


TIME.com 2013年11月05日

アメリカは密猟に加担しない。
オバマ政権は違法象牙の消費者と販売者らに向けてメッセージを送った。

合衆国魚類野生生物局は、政府が過去25年間で押収した6トンの象牙を11月14日に岩砕機を使って破砕する際、このメッセージがはっきりと伝わることを願っている。

オバマ政権による野生生物保護推進の最新の試みとして、デンバーの国立野生動物保護区で、大量の未加工の象牙や、象牙の彫刻品、装飾品、服飾品が処分される。密猟の急増により3分の2近いアフリカ原産のゾウが失われた後、1989年に制定されたThe African Conservation Actは広く象牙の輸出入を禁じた。以来、合衆国は国境や貿易港、その他の入国ポイントで象牙を押収している。

火曜日、Foreign Press Centerのプレスイベントにて合衆国魚類野生生物局長のDaniel Ashe氏は、「私達は来週、一つの重要なステップを歩みます。」、「私たちは、象牙密猟問題が広く知られることを願って、そして世界中の他の国々が象牙ストックの処分をするよう働きかけるために、象牙のストックを処分します。」、と述べた。

今回の象牙の破砕はアメリカで初めての象牙処分であるが、他の国々では以前から象牙が処分されてきた。夏の間、フィリピンは、当局者たちによる象牙の盗みと闇市場での売却を防ぐために、5トンの象牙ストックを破砕、焼却処分した。2011年にはケニア大統領も、焼却のみでは象牙を処分出来ないのだが、密猟者らにメッセージを送るために象牙を焼却した。

象牙は闇市場においてコカインや金よりも価値があり、年間約100億ドルの収益となっていると推測されている。当局者らによれば、象牙ストックの処分は、象牙の市場は最終的に存在しないということを密猟者らや取引人らに示すことを目的としていると言う。 TIME誌に対し、魚類野生生物局の法執行次長のEd Grace氏は、「象牙に価値があってはなりません。」、と語った。

アメリカの象牙ストックは、グローバル市場に存在する何トンもの象牙のうちのほんの一部でしかない。規制や、密猟の影響についての情報の拡大にも関わらず、違法象牙取引は増加している。ワシントン条約(CITES)によれば、2011年には、象牙需要の増大や犯罪組織の介入が大きな要因となり、象牙の違法取引はこの20年近くで最も高いレベルにあったと言う。

Ashe氏は、「世界的な豊かさの向上に伴い、野生生物製品への需要は増大しています。」、と述べた。「合衆国内でもこの問題の解決は困難なものでしたが、全世界でも同じことが起こるでしょう。これは過去に私たちが目にしてきたトラフィキングではありません。これはとても洗練され、高度に組織されていると思われるトラフィキングです。」

グローバル市場は、象牙製品の所持をステータスの象徴と捉える新興の富裕層がいる東アジアや、何千ものゾウが殺害され、犯罪組織を通して象牙が流通されているアフリカ諸国によって支配されている。伝統的な密猟者が、コンゴの神の抵抗軍(Lord’s Resistance Army)や、武器の購入のために象牙を売るソマリアのal-Shababといった、危険な組織に取って代わられている。

オバマ政権は、7月初旬にオバマ大統領が発令した、密猟を減らし絶滅危惧種を保護するための大統領令や、来週の象牙処分を含む彼らの努力が、象牙取引人らを抑制し、他の国々が行動を起こすよう促すことを願っている。



独立行政法人環境再生保全機構より平成24年度地球環境基金助成金を受けて実施した「アフリカの熱帯林の環境保全と日本をつなぐ生物多様性保全の教育・普及活動」のフォローアップの一環としてこのページを作成し、公開しています。

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