アフリカ熱帯林の現状と日本との関係

伐採によって密猟者はマルミミゾウを好き勝手に密猟できるようになった


THE INDIPENDENTのニュース「Logging has allowed poachers to pick off the African forest elephant at their will」を、AJFが翻訳・紹介するものです。

伐採によって密猟者はマルミミゾウを好き勝手に密猟できるようになった


2013年12月18日 THE INDIPENDENT 
STEVE CONNOR

これら森に棲む象の牙はより硬く、ゆえに求められている

多くの人々は開けたサバンナに住む巨大な動物としてのアフリカゾウのことは知っている。しかしコンゴ盆地の深い森の中に住むゾウは、より知られていない存在である−そして彼らは象牙の密猟者に脅かされている。

森林伐採と密猟の致命的な組み合わせは、コンゴ盆地の熱帯林に数百万年前から棲息し、通常は開けたサバンナとブッシュに棲む有名なサバンナゾウと分離されたマルミミゾウの数を激減させてしまった。

マルミミゾウはサバンナの彼らの同胞達より小さい、そして何人かの科学者たちは核酸配列に大きな変異があり、彼らの姿や行動が違いがあることから彼らが別個の種であると信じている。しかしアフリカ中央部の深い森で彼らを観察するのが難しいがために、私達はサバンナゾウについて知っていることよりもはるかに彼らのことを知らない。

しかしながら、知られていることはマルミミゾウの個体数と棲息域が数10年前から減少していることである。その頃、マルミミゾウは、西のギニアとナイジェリアからアフリカの中心であるコンゴ川の源流まで、西と中央の赤道付近のアフリカの帯状の広大な地域に棲息していた。  

今日では、マルミミゾウはガボン、カメルーン、中央アフリカ共和国、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国の熱帯林の小地域でしか見られない。過去10年間だけで科学者は62%のマルミミゾウが貴重な象牙のために虐殺されたと推定している−彼らの牙はサバンナゾウより小さいにもかかわらず、彼らの象牙はより硬く、それ故に彫刻師たちにとって魅力的で(そして貴重で)ある。

何頭のマルミミゾウが生存しているかに関する推定値は24,000頭以下から209,000頭以上まで−現在こんなに多いと信じる専門家たちはわずかであるが−と非常に様々である。この大きな差異はこの種についてどんなに知られてないかということを示している。そして保護活動家たちはマルミミゾウを森の大型の種子をばらまくその重要な役割から『熱帯林の庭師』の愛称で呼んでいる。

マルミミゾウにとっての最も大きな脅威は熱帯林の奥深くを貫いて延びる森林伐採用の道路からやってくる。これらの道路はこの地帯に銃で武装した密猟者を連れて来る。かつて彼らは隔絶されていたので、これらの優しい森の巨人と人間との緊密な接触はなかった。

「歴史的にゾウは200万平方キロメートル(772,000平方マイル)以上のこの巨大な地域の森の全域に分布していました、しかし今はこの1/4の大きさの地域に分布するにすぎないのです。」とコンゴ民主共和国のLukuru Wildlife Reserch FoundationのJohn Hart氏は言った。彼は今年始めに出版されたゾウに関する大きな国際的な研究の一部である。 

「森林の避難場所は残っているにもかかわらず、そこにはゾウがいません、これは生息地が破壊されたという問題ではないことを明示しています。これはほぼ全体的に密猟によるものです。」とHart氏は言った。

最も規模の大きいマルミミゾウの研究は2002年から2011年の間に調査した60人以上の科学者の努力を総合したものである。13,000km(8,000マイル)の徒歩と分析のための約11,000検体の採取−ほとんどの場合、糞がこれらのゾウを数える最も正確な方法だった−が含まれる。 

研究者たちは、マルミミゾウが使用していた地域の1/3はたった10年間で彼らの生存にとって非常に危険な場所になってしまったと結論づけた。象牙の密猟による重圧は、その種を道路に沿って急速に絶滅に追い込んでいる。

「分析は、保護活動家たちが怖れていることを裏付けています−マルミミゾウがもしかすると次の10年以内に急速に絶滅するかもしれないという兆候があります。」この研究の著者のひとりであるWCSニューヨークのSamantha Strindberg氏は言った。

虐殺はアフリカ中央部で建設されている拡大する道路網と直接リンクしている。これらの道路が管理されることなく拡張されていることが、密猟問題を加速する最も大きな要素のひとつであり、はるか東の増大する象牙の需要がそれを煽っている。 

「管理・運営されていない道路はマルミミゾウにとっては死の高速道路です。問題なのは道路の物理的な影響ではありません−実はマルミミゾウは道路のそばの植生が好きなのです−。それはむしろ管理・運営されていない道路を通って、銃と弾薬を持った人々がやって来ることなのです。それらは人間の居住地と遠くのブッシュミートのマーケットの両方を原始の森林地帯の中へ直接つなぐパイプラインにもなっています。」WCSニューヨークのStephane Blake 氏は前のマルミミゾウの個体数と道路の研究が発表された2007年に言った。 

さらに悪いことに虐殺は秘密裏に行わている。「アフリカのサバンナではゾウの個体数と違法な殺害の両方が空からの調査でしばしば監視できます。しかし一方で、森の奥のゾウの殺戮は気付かれないでいる可能性があります。」とBlake博士は2007年に言った。 

それから、コンゴ盆地を横切る道路とその他のインフラの発達が加速している、とBlake博士は昨日言った。 

「民間企業と政府は資源にアクセスし利益を得るためにかつてなかったほど道路を建設しています。しかしながら一旦建設してしまうと、環境的にダメージが少ない方法を計画し、違法な狩猟と取引に対して管理するためにはほとんど何も道路インフラに再投資されません」とBlake博士は言った。

「だれもがゾウ達と彼らの棲息地のためにふさわしい将来を計画する行動をするよりも、彼らの利幅または消費者の商品のコストばかりを心配しています。全ての人が正しいことをする時です、でもその時間もなくなりつつあります。」と彼は言った。

「良いニュースは まだわずかなチャンスがあることです、世界は今この時それをつかみ取らなければなりません、さもなくばそれは永遠に去ってしまうでしょう。」

マルミミゾウの事実

DNAの研究はアフリカゾウの亜種と考えられていたマルミミゾウが、アジアゾウがマンモスと異なった種であるのと同様にサバンナの同胞たちと別の種であることを示している。マルミミゾウはサバンナゾウより小さく、平均3.5mの体高のサバンナゾウに対して、肩から平均約2.5mの体高まで成長する。彼らはより小さい社会的なグループで生活し、偉大な果実食者である。森の大型の種子をばらまく重要な役割が、彼らが『熱帯林の庭師』と呼ばれるゆえんである。


独立行政法人環境再生保全機構より平成24年度地球環境基金助成金を受けて実施した「アフリカの熱帯林の環境保全と日本をつなぐ生物多様性保全の教育・普及活動」のフォローアップの一環としてこのページを作成し、公開しています。

▲このページのTOPへ