アフリカ熱帯林の現状と日本との関係

ザンガ・バイのマルミミゾウの長期モニタリング:森林内湿地利用のパターン


PLOS ONEに掲載された論文を、AJFが翻訳・紹介するものです。
引用する際には、原文にあたってください。
Long-Term Monitoring Of Dzanga Bai Forest Elephants: Forest Clearing Use Patterns

ザンガ・バイのマルミミゾウの長期モニタリング:森林内湿地利用のパターン
by Andrea Turkalo, Peter Wrege, and George Wittemyer


PLOS ONE 2013年12月26日

概要

他種と比べて謎の多いマルミミゾウの森林内湿地における個体特定は、ここ最近、この生態的に重要でありながら、ますます危機に晒されている種について、最高質のモニタリングデータを提供している。ここに、中央アフリカ共和国ザンガ・バイにて行われた、最初の20年間のこの種の個体ごとの調査から得たベースラインデータを示す。

20年以上に渡る調査で、計3128頭(成獣1244頭; メス675頭、オス569頭)のゾウが特定された。バイを訪れる大多数のゾウの特定におよそ4年かかったが、調査の間毎年、新たなゾウがバイに入った。調査頭数は比較的一定で、1668頭から1864頭(若いゾウや子どもを含む)の間だが、調査中にオスはメスよりも徐々に少なくなっていった。1995年から2010年の間、メスの年齢別分布に質的変化は無かったが、オスの数は10%から20%減少し、死亡率の増加を反映していると思われる。

個体がバイを訪れるパターンは大変多様で、あるゾウが月に一度訪れるのに対して、あるゾウは数年間隔で一時的に利用した。一度にバイを訪れる個体数は何時でも40〜100頭の間で、このバリエーションに季節性のパターンはほとんど見られなかった。

一緒にバイに訪れるゾウの数(ここでは社会的集団と定義する)は、平均してオスは1.49頭(1〜12頭)、メスは2.67頭(1〜14頭)であった。この20年のマルミミゾウの集中的モニタリングの対照調査は、この種にとって、最初の詳細な、バイ訪問の生態学の長期的観察を提供し、生態学的重要性とバイ利用の動機、社会的行動、そしてマルミミゾウへの脅威に関する見通しを与える。

我々はバイの訪問率に影響している動機となり得るもの(雨量、圧迫、密猟など)を議論する。この研究は、この種の将来的な統計学や行動学のためのベースラインを提供する。



独立行政法人環境再生保全機構より平成24年度地球環境基金助成金を受けて実施した「アフリカの熱帯林の環境保全と日本をつなぐ生物多様性保全の教育・普及活動」のフォローアップの一環としてこのページを作成し、公開しています。

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