アフリカ熱帯林の現状と日本との関係

ゾウを救おう!:アフリカの“白い金”は、どのようにしてアルシャバブの戦士達の資金源となっているのか


THE INDIPENDENTのニュース「Elephant Campaign: How Africa’s ‘white gold’ funds the al-Shabaab militants」を、AJFが翻訳・紹介するものです。

ゾウを救おう!:アフリカの“白い金”は、どのようにしてアルシャバブの戦士達の資金源となっているのか


2014年2月3日 THE INDIPENDENT 
VIDHI DOSHI

象牙の密輸はテロリストグループにとって魅力的で収益性の高い事業になった

アフリカのブッシュからアジアの都市へ”ジハードのための白い金”を運ぶことは簡単な仕事ではない、にもかかわらず、ソマリアのイスラム過激派グループ、アルシャバブの注意深い取り組みによって、その過程は規則正しく進む。昨年67名が命を失ったナイロビのウェストゲートショッピングモールの襲撃事件の犯行声明を発表し国際的に大見出しで報じられたアルシャバブの調査に何年もを費やしてきたElephant Action Leagueの常任理事のAndrea Crosta氏は、そう主張する。

彼は3トンにおよぶ象牙が毎月連携のとれたサプライチェーンを通して売買されたと主張した。   

環境保全活動家たち、保護論者たちは、アルシャバブが象牙取引から彼らの資金のかなりの割合を得ていると主張している。 これがどうやって達成されたかの正確な情報を、保護論者やセキュリティの専門家達は断片的データをつなぎ合わせて明らかにした。

Crosta 氏は、アルシャバブ内部に潜入捜査員と情報提供者のネットワークを作り、そのうちの何人かは組織のもうけになる象牙取引について今も活発に報告していると言う。

「アルシャバブのメンバーに信用されているソマリ出身の一人の男がいます」と彼は言った。「誰かがアルシャバブを通じて象牙を購入しようとするとき、彼らはいつもこの男に連絡して具体的な金額を尋ねます。」

国連の報告によると、2012年に22,000頭のゾウが密猟者によって殺された。象牙の密猟および密輸が過激派グループにとって魅力的な事業になっていることに全く不思議はない。 密猟者達は逮捕されても、たいてい些細な罰金でまたは短い保護監察期間だけで逃れられる。そしてそのようなリスクを負う金銭的な動機はとても大きい。最も大きなリスクを負う密猟者たちは1kgの象牙あたり50ドル~100ドル(60ポンド)を稼ぎ、その価格はサプライチェーンを移動するにつれて上昇する。  

長く穴だらけのケニアとソマリアとの国境は、過激派の戦士達がケニアあるいはアフリカのどこかで密猟された象牙を、育成中の戦士や海賊や銃・火薬の密輸人などがいる無法国家の内部に送り込むことを比較的簡単にしている。そこからそれは、多くがアルシャバブに支配されるか少なくともおおいにその影響を受けているソマリ海岸の港に達する。

Crosta氏は、推定値は様々であるがアルシャバブは象牙だけで月額365,000ポンドを稼いでいて、それは戦士たちに支払われる月給の40%を支えるのに十分な額であると言った。グループの収益の他の供給源は、石炭の輸出、イスラムの非公式の十分の一税(イスラムの喜捨のこと)であるザカートを集めることなどである。 

2012年の米国議会の証言で、Tsavo Trustの理事のIan Saunders氏は、2010年の報告によると1頭のゾウを殺すことで、5万ドルがかかったと推定される1998年の大使館爆破事件規模の攻撃に資金を供給するのに十分であると指摘している。

密猟取引はテロ集団にとって新しい冒険的事業ではない。中央アフリカにおいて3,000人を殺害し数千人以上を避難に追い込んだ神の抵抗軍(LRA)は状況を利用して、密猟自体により多く関わっている。グループの逃亡中のリーダーであるジョセフ・コニーはゾウを殺すことを彼の部下に命じたことが知られている。スーダンのジャンジャウィードも密猟により深く関与している。

しかしながら、Crosta氏によると、アルシャバブの象牙の密売の方法の方がはるかに洗練されているという。 

お金は通常ケニアとソマリアの間の無人地帯で手渡される。アルシャバブはMerkaやBaraweのような港に象牙の船積みを運ぶ小型ボートを持っている 

Crosta氏は、象牙を求める船は象牙の需要が高いことで知られる中国だけからやってくるのではないと言う。それらは”韓国やイラン、トルコそしてもちろんペルシア湾のドバイ”からもやって来る。 

アルシャバブの交渉担当者は、正確に象牙を量るために自分の秤を持って来るぐらい徹底している。 

2012年以降アルシャバブはモガディシュの町と重要な港であるKismayoの支配を失った時、グループは主要な資金源を失ったと時事解説者達は言った。しかしながら組織は再建を果たし、未だに支配している小さな港へ移動して活動している、とCrosta氏は言った。

また、アルシャバブはKismayo港を完全に支配できなくはなったものの、昨年のリークされた国連の報告によると、その地域に展開するケニアの平和維持部隊の腐敗した幹部たちが相変わらずアルシャバブの木炭密輸に共謀しているという。

調査を始めたのは象牙の被害がゾウの個体数を減らしたことだけでなく密猟取引の暴力に巻き込まれる人間のためでもあると、Crosta氏は言う。

「私は一家の稼ぎ手がレンジャーであるという理由だけでテロの対象となった数家族、10~12人の人たちを知っています」とCrosta氏は言った。「これらの事実すべてを知っているにもかかわらず象牙を購入する人々は殺人の共犯者です」

あなた自身の1歩を踏み出すために、私達の訴えをサポートし、請願書に署名してください。


独立行政法人環境再生保全機構より平成24年度地球環境基金助成金を受けて実施した「アフリカの熱帯林の環境保全と日本をつなぐ生物多様性保全の教育・普及活動」のフォローアップの一環としてこのページを作成し、公開しています。

▲このページのTOPへ