アフリカ熱帯林の現状と日本との関係

コンゴのゾウを密猟者から救う血なまぐさい戦い


Channel 4 Newsのニュース「Bloody battle to save Congo elephants from ivory poachers」を、AJFが翻訳・紹介するものです。

コンゴのゾウを密猟者から救う血なまぐさい戦い


Channel 4 News
2014年2月11日

野生生物の不法取引に関する会議がロンドンで開かれるにあたり、コンゴの保護活動家たちは、中国がコンゴ国内で貧しい人々にこれまで以上にAK47を提供し、ゾウの密猟を促進していると主張している。

Odzala-Kokoua国立公園はコンゴ最大の国立公園で、国内で最も自然がそのままに保たれているサバンナだけでなく、中央アフリカのほとんどの豊かな生物多様性で満ちている広大な赤道直下の熱帯林も含んでいる、とAsha Tanna氏は書く。

公園の管理人であるDavid Zeller氏と私は首都のBrazzavilleで会い、彼は私にこう言った。「過去に、弾薬は腐敗した地元の警察や憲兵(国家警察)、そして軍から支給されました。けれどもその時でさえ、どのぐらいの弾薬を渡したのかを把握していなくてはならかかったので、彼らは注意深くなければなりませんでした。腐敗した警察との強いコネクションが必要だったのです。」

「中国国内であれ国外であれ武器取引に関してとても厳しい規制がありますが、では『武器と弾薬はどこから来るのか』という疑問が生じます」。

「私達は、ここにいる中国人労働者がアフリカの手ぬるい国境管理をまたにかける売人から武器と弾薬を少しずつ手に入れているということが大いにあると信じています。より多くの弾丸を現地の人々に供給することにより密猟者の増加を招き、弾薬へのアクセスが容易になっています。」

ゾウの避難所

オザラ国立公園でゾウの個体数は安定しているのにもかかわらず、狩猟の重圧は現在 “心配なレベル”に到達しつつある、とZeller氏は話す、そしてもし最近の状況が変わらないままであれば、ゾウの個体数は絶滅しないまでも劇的に減少する。

 非政府の野生生物保護組織PALF のコーディネートをしている Naftali Honig 氏は、「オザラは国立公園の境界線の外の 保護されていないエリアから逃げ出してきたゾウの避難所になっているようです。」と私に語った:「密猟はこの地域で蔓延しています。オザラの周辺地域は、保護の限界を超えているコンゴ北部の他の公園と同様に、多くの不法な未加工象牙の取引の源となっており、そこからアジアへのルートにのせられうるのです。」

「私達はちょっと前に、NR2高速道路の中国人労働者がゾウの密猟に関わっていたことを知りました。私達が彼らを象牙取引の現行犯で逮捕したときでさえも彼らはコンゴの腐敗のおかげで無罪を獲得したのです。」

「腐敗した役人は、これらのマフィアスタイルの活動に対して有罪を確保する ために複雑なネットワークに深く入り込むことを、ほとんど不可能にしました。」 

密輸をより容易にする

Odzala-Kokouaを管理する非営利組織であるAfrican Parksによれば、2012?2013年に33人の密猟者が逮捕されたがたった7人しか投獄されなかった。コンゴの法律はゾウの密猟に関わる法を執行する者全てに対して、5年間の刑を執行することを命じている。

しかし昨年の場合、有罪となったひとりの警官がたった2ケ月の刑期を務めただけだった。他の26人の逮捕者は、裁判も尋問も法が定める適正な手続きも受けることなく釈放された。 

2011年に野生生物保護活動家たちが概算したところでは、殺されたゾウの数はアフリカ全体で50000頭である。これは歴史上最も多い数である。不法象牙取引の70%は 好景気で中産階級の急速な拡大が進む中国に流れ込む。 

「象牙を送り出す前に加工することで税関をくぐり抜けて密輸することを容易にしているのです」と、David Zeller氏は私に言った。大量の象牙がコンゴから出て行く、ほとんどはまるごと、しかし今は加工された物が密輸されることもある。それは加工がコンゴ国内で行われていることを示す。 

彼は「象牙を送り出す前に加工することで税関をくぐり抜けて密輸することを容易にしているのです。昨年PALFは空港を飛び立ちつつある飛行機を止めた、そして中国人労働者の荷物を調べた そしてその個人から象牙のいくつかのかけらを没収した。私達はまた中国人労働者のキャンプの外で象牙の削りくずを見つけました。」と付け加えた。 

中国の銃弾

コンゴ共和国の人口の半分以上が雇用されておらず、農村地域では雇用がほとんどない。 オザラ周辺地域の貧困は広範囲に及び、村人は生きるためにしばしばすぐ近くの自然の資源に向かう。

Odzalaの密猟対策チームの長Mathieu Eckelによれば、中国人労働者は現金が欲しくてたまらない地域のコミュニティに接近する。しかしながら彼らは収入のドリップードリップ効果にだまされ、莫大な金額を支払われていない。 

彼は春に密猟の疑いで逮捕された地域の男性が陳述をしているビデオを見せてくれた。彼は銃弾が中国人労働者から支給されたと証言した。その少し後にその男は中国人の売人にAK47の銃弾をもっと求めるために電話をした。売人の返答ははっきり聴こえたーyes,彼は象牙を集めるために以前供給した物と同じ種類の銃弾を彼に与えることができる。 

Eckel 氏は言った ”この地域のバンツー(地域の人々)はピグミーと同じくらいに狩りをします、しかしピグミーは最も腕の良い密猟者です。なぜなら彼らは毎日森を使い、そして長年ゾウを狩猟してきたからです。過去の狩猟は生きるためにやっていましたが、今では彼らは象牙を森林よりも貴重な物として見ています。」 

「また、ピグミー達は現代的になり、タバコやアルコールなどの影響を受けています。時々彼らは象牙に対して現金を支払われますが、彼らは自家醸造のアルコール(トウモロコシやヤシから作られた)もまた報酬として受け取ります。」 

「この地域共同体は失われてしまいました。彼らは教育を受けていないし、雇用されている人もほとんどいません。彼らは自分たちの方が優れていると感じている他のコミュニティから奴隷のように見られています。だから彼らに人権はありません。密猟はひとつの逃避手段なのです。」 

Zeller氏は、コンゴの活動家達は中国大使館と交渉中で、彼らは取り決めの公式の合意についての肯定的なフィードバックを得たと言っている。「彼らは、ここコンゴで中国国民が違法行為に関与していないことを熱望しています。」 しかし彼は、これは長い過程の出発点にすぎないことを承知している。 

彼は付け加えた。「コンゴのゾウたちが生き残るためには、政府高官が末端に対して関心を持つことが必要です。ブラザビルは強いメッセージを発信する必要があります、たとえそれがただの誇示のためであったとしてもです。」 


独立行政法人環境再生保全機構より平成24年度地球環境基金助成金を受けて実施した「アフリカの熱帯林の環境保全と日本をつなぐ生物多様性保全の教育・普及活動」のフォローアップの一環としてこのページを作成し、公開しています。

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