アフリカ熱帯林の現状と日本との関係

中国−アフリカ関係:環境問題に関する中国のジャーナリスト達による新しい展望


IIEDのブログに掲載されたニュースを、AJFが翻訳・紹介するものです。
原文が必要な人は連絡ください。

中国−アフリカ関係:環境問題に関する中国のジャーナリスト達による新しい展望


Xue Weng, Eco-Business / 2014年5月6日

中国のジャーナリスト達はめったにアフリカから報道をしない。その結果、中国の大衆はアフリカ大陸について、まして中国の投資と消費によって決定される(アフリカの)環境と開発の課題についてほとんど知らない。

ジャーナリストとメディアは、中国のアフリカへの関与を、中国の象牙製品の需要に対応する違法な象牙取引のような環境問題へのより広範な認識に基づくものへと導くことができる。

これらの知識のギャップを小さくするために、IIED ( International Institute for Environment and Development: 環境開発国際研究所)は、5人の中国のジャーナリストが2014年の2月に中国のケニアへの関与に関連する持続可能な開発の課題を調査した際に、資金を拠出した。彼らの記事(以下に列挙した)は、様々な中国の新聞やインターネット上の媒体で公表された。その中には中国の主要なテレビチャンネルであるCCTV(中国中央テレビ)で放送された、象牙取引についてのゴールデンアワーのドキュメンタリーも含まれている。

アフリカにおける中国の役割についての考察と旅行から得た考えを聞くために、私は先月北京で5人のジャーナリストと面会した。そこで学んだ3つの重要なポイントは列挙する価値がある。

1. 中国の消費者たちへの啓発に関するジャーナリストの責任

「象牙は中国の消費者にとって富の象徴である、従って世論は重要である」、象牙取引を調査したひとりのジャーナリストは、中国の消費者の好みを形成するメディアの力について話した。ケニアの国立公園とレンジャーステーションを視察した後、彼は、密猟と違法な象牙取引がその土地のゾウとコミュニティに与える悲惨な影響の数々をはっきりと理解した。彼は国立公園のレンジャーの比喩を使った質問を今でも覚えている。「もし私たちがあなた方のパンダを殺しに行ったとしたら、あなた方はどのように感じるでしょうか?」

中国に戻ると、このジャーナリストは、違法象牙供給チェーンを最終消費者まで追跡調査することを始めた。彼は取引を調査している中国の警察のみならず有罪になった中国人の象牙の貿易業者をインタビューした(彼のドキュメンタリーは中国の国営テレビ局である中国中央テレビで放送された;放映時におよそ50万人の視聴者に視聴され、さらに1万人以上がダウンロードした)。インタビューを受けた中のひとりはドキュメンタリーの中で、「中国では多くの人々が象牙を得るためには誰かがゾウを殺す必要があることをよくわかっていない」と言っている。ゆえに中国のジャーナリストは象牙製品の背後にある真実のストーリーを語ることによって、世論を形成するのに重要な役割を果たすことができる。

2. アフリカを見て、中国を考える

ジャーナリスト達にとって、アフリカは中国自身の環境問題の鏡としての役目をしている。彼らがアフリカの持続可能性の課題についての議論を深めるにつれて、中国の状況について良く考えるようになった。例えば、ザンビアで中国の大きな鉱山会社が厳しい環境アセスメントの実施を要求される様子を目撃した後、ひとりのジャーナリストは中国国内ではほとんど実施されていないことを嘆いた。彼は自問するように尋ねた。「なぜ私たちは中国でそれを出来ないのだろうか?」

別の例では、ケニアでのある経験が、環境保護に関する市民社会の役割をジャーナリスト達に気付かせた。カルラの森(ナイロビにある都会に近い森で、ノーベル賞受賞者のワンガリ・マータイ氏によって導かれた市民社会運動のおかげでその保全が可能になった)を訪問した後、ジャーナリストのうちのひとりが環境問題を解決する市民社会の力の例としてカルラの森を賞賛し、同じようなことが中国でも起こりことへの期待を述べた。

3. 中国中心の見方を捨てる

ジャーナリスト達は、中国がアフリカの国々と付き合う際にとりがちな、中国を偉大な兄、そしてアフリカ諸国と比較して優れた経済力を持つ国家とする”中国中心”(のやり方)について疑問を呈した。あるジャーナリストは「アフリカの国々を真に理解するためには、私たちは中国中心の見方を変えなければいけない。そして同輩として扱うことを学ばなければ らない。」と言った。例えばキベラスラムや貧しい人たちの市場を視察することによって、現地の人々の目を通してケニアを理解したいと、ジャーナリスト達が強く望んでいることは、アフリカを見るためのそのような新しいアプローチはどうあるべきかを示していた。

ジャーナリスト達との一日の後に、私は彼らの率直さ、注意深く考える能力、現地の人々の視点からケニアを理解したいという願望、そして中国-アフリカ関係における対等なパートナとしてアフリカを見ようとしていることに心をうたれた。中国の消費パターンが世界中の自然資源や生物多様性に影響を与えている時代において、彼らは中国のジャーナリストの新しい世代を代表する。彼らは、中国の足跡を目撃し、中国の人々に中国人が海外に与えている影響を啓発するために”外に出る”。

IIEDで、我々は、中国のアフリカへの関与が持続可能で社会的に有益なあり方となるようにするための努力をしている(ここから私達の仕事について知ってください)。証拠を見出し、政策立案者に知らせることに加え、現場から中国の声が聞こえるようにし、中国の人々の間の意識を向上させるという我々の戦略は、正しい方向への極めて重要な一歩であると信じている。

Xue WengはIIEDの研究者である。この文章は最初にIIEDのブログに掲載された。

For more information, please contact Cynthia Walley, Public Relations Manager at African Parks Network, at cynthiaw@african-parks.org


独立行政法人環境再生保全機構より平成24年度地球環境基金助成金を受けて実施した「アフリカの熱帯林の環境保全と日本をつなぐ生物多様性保全の教育・普及活動」のフォローアップの一環としてこのページを作成し、公開しています。

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