アフリカ熱帯林の現状と日本との関係

ゾウを保護することは、アフリカ中央部の森林の生長促進につながる


Oxpeckersのニュース「Protecting elephants could encourage forest growth in Central Africa」を、AJFが翻訳・紹介するものです。

ゾウを保護することは、アフリカ中央部の森林の生長促進につながる


Oxpeckers Reporters
2014年8月9日

アフリカ中央部で酸素と食料の生産性を高め、気候変動と闘うためにはゾウたちが必要、とIsrael Bionyi 氏は書く。

今日、アフリカ中央部の森林は速い速度で消滅しつつある:1990年から2000年の間に、およそ91,000平方キロメートルの森林が失われた。これはベルギーの大きさの約3倍である。

顕著な森林破壊とゾウの個体数の減少はこの地域の生物多様性に途方もない影響を与え続けている。私の調査の本拠地であるカメルーンでは、(1990年から2005年の間に)13%の森林が既に消滅してしまった。そしてアフリカ中央部はこの10年間でゾウの個体数の60%を密猟によって失った(Maisels et al 2013)。

CITESの MIKE(Monitoring the Illegal Killing of Elephants)プログラムによるとアフリカ中央部では2002年以来、報告があったアフリカの他の地域に比べて違法にゾウを殺す行為が最も多く記録されている。  

2013年にカメルーンのBouba Ndjida 国立公園で400頭のゾウが殺戮されるという出来事が起こった。

現在、アフリカ中央部にはたった90,000頭から150,000頭のゾウしか残っていない。この数はIUCN、CITES、African Elephants Specialist Group, Elephant Trade Information System (ETIS), Elephant Databaseなどが作成した一連のアフリカゾウに関する報告書を比較して引き出された。

生態学的なゲームチェンジャー

「ゾウの絶滅はもちろん問題であるし、森林生態系に甚大な影響を与える。ゾウ達が絶滅に向かっているということは、競合的なバランスを保っている非常にたくさんの生物種−アフリカ中央部にほぼ間違いなく100種類以上存在する−も被害を被ることを意味する。」と、 Acta Oecologica.に収録されたアフリカゾウとアジアゾウによる種子散布に関する研究論文の著者であるBlake氏 とCampos-Arceiz氏は言う。

IUCNとWWFはゾウを 生態学上の重要な種と呼んでいる。それは他の種や生態系を支えるのに不可欠な役割を果たすからである。 

ゾウは種子を発育させ運搬する素晴らしい潜在能力を持ち、森林の生長には不可欠である。ヘビー級の陸生哺乳類は地球上で最も素晴らしい種子散布者のひとつである、この発見は科学者による最近の研究によって裏付けられた。

種子散布は、生態学者達の考えによれば、親植物から離れた場所への生物媒介者(生きているもの)あるいは非生物媒介者を介した種子の移動と運搬である。 

ゾウは生物媒介者であり、彼らの消化システムを通して消化管の外へ種を送り出すことによって何千個もの種子を運ぶ。そして糞は種子にとって発芽を促し、生きるために必要な水分や熱や二酸化炭素のような他のガスを取り入れるための培養器の働きをする。

Ahimsa Campos- Alcaiz氏は「アフリカゾウは究極の種子散布者である」と確信し、そしてゾウ達は最も能率的なやり方で種子を散布すると断言している。

生態学的な見地から、科学者たちは、ゾウは母植物から数100km離れた場所に種子を散布するという理由で森林の生長にとって非常に重要であると主張している。 

彼らの個体数と生息地面積が増加するほど、森林が拡大する。コンゴ共和国のゾウは母植物から57kmあまり遠くに種子を散布することができる。

20%に達する地球温暖化が森林伐採に起因している。もし国連の森林再生プログラムであるREDD+(レッドプラス)が森林破壊と密猟を止めるためにアフリカ中央部諸国の政府や他のNGOと力を合わせることができれば、それは気候変動と闘う解決策のひとつになるだろう。 

食料安全に関してはどうだろう?「森林と樹木の生態系はサービスの範囲の供給を支えている、そしてそのように、適切なやり方で管理された時、食料生産に重要な貢献ができる」、とFoli氏他が彼らのEnvironment Evidence Paperで言っている。 

報告ではまた土地生産力は”花粉媒介者の多様性による”と付け加えている。総農地の46%が少なくとも10%の木の茂みを保持している。

しかしその前に、彼らは不正を根絶することによって政府に機能させなければならない。2013年のトランスペアレンシー・インターナショナルのCPI(=Corruption Perceptions Index:世界腐敗認識指数)によると政府が脆弱な国々で高レベルの森林破壊と伐採が行われる傾向があり、逆もまたしかりである。アフリカ中央部の多くの国々は世界で最も不正の多い国々の中に含まれるのである。


独立行政法人環境再生保全機構より平成24年度地球環境基金助成金を受けて実施した「アフリカの熱帯林の環境保全と日本をつなぐ生物多様性保全の教育・普及活動」のフォローアップの一環としてこのページを作成し、公開しています。

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