アフリカ熱帯林の現状と日本との関係

コンゴ共和国、密猟との闘いにおける転換を明示


NEY YORK TIMES 「Republic of Congo Signals a Turn in Poaching Fight 」を、AJFが翻訳・紹介するものです。

コンゴ共和国、密猟との闘いにおける転換を明示


2015年04月30日 NEY YORK TIMES BY JADA F.SMITH 

ワシントン−コンゴ共和国のDenis Sassou Nguesso大統領は今週、首都のブラザビルで、満面の笑顔で5トン以上の密猟象牙に点火した。

象牙は国中で密猟者から押収されたもので、同様に不法伐採された木材を燃料に燃やされた。この水曜日の大かがり火は、アフリカ大陸の資源を荒らす危機に対する公開の非難として企画されたものだった。当局は、灰が冷めた後もずっと、行政の外側と内側の両方で、不法取引者たちへ圧力をかけ続ける決意を示した。

このイベントは象牙、犀角その他の野生動植物の国際的な需要が再び増加しているという課題に対応するために、コンゴ共和国政府が主催した1週間の会議の一部だった。チャド、ベナン、ガボン、ガーナ、ケニア、ジンバブエを始めとする国々の首脳たちが出席した。彼らと一緒に会議に出席した指導的な保全活動家達は、アフリカ中の当局者たちが野生生物を守るためのアプローチを転換しようとしていると言う。

「これは単なる声明書ではありません」とコンゴ共和国森林経済と持続可能な開発担当省のHenri Djombo大臣は言う。「私たちは行動と実行計画を生み出している。そして私たちは皆が参加するべきだと信じます。」  

絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)こ基づくと、現場でゾウを守るための良い装備と十分な訓練経験を持つ運営者が不足し、政府の在庫の警備が不適切であり、積極的な刑事訴追もなされず、さらには、汚職が広がり、押収物搬送時の管理不足など、コンゴ共和国には歴史的にこの問題に取り組んだという記録が乏しい。

しかし政府当局者たちはこの認識を変えるために活動してきた。彼らは、少なくとも内部から、密猟と闘う際の主要な障害とみなされていた課題に取り組むために、2月にニューヨークに本拠地を置くWildlife Conservation Society(WCS)やその他の組織と協力を始めた。どのくらいの量を焼却したか、それがどこから来たのか、どの従業員がそこで取りだしたのかなどがわかるように、彼らは政府の在庫を管理する厳格なコンピューター上の仕組みを設置した。この方法で彼らは密猟のひどい地域を特定し、何かがなくなった時にいたのは誰かを知ることができる。現在、押収したそれぞれの象牙を明細を記録し、個別の番号をつけ、ブラザビルの中央データベースに情報を追加している。

「全体のプロセスの透明性を向上させるための系統だった管理システムがあることは重要です」とWCSの科学者であるEmma Stokes氏は言う。「もし象牙が当局に押収されれば、街から遠く離れた国立公園の外へ、ブラザビルの在庫まで公式に搬送されなければならない。しかし以前は追跡の方法がなかった。それは盗難されたり紛失したりする可能性があり、近年の違法象牙市場での価格の高さを考えると非常に問題である。」

アメリカ合衆国は違法野生生物製品において2番目に大きい市場、そしてアジアへの主要なルートになってしまったことから、オバマ政権はアメリカの情報機関が取引に参加する者達に対する追跡と監視を強固にすることを表明こととなった。アメリカ合衆国はまたアジア諸国が違法な野生生物製品の売買をしないように、他の国々と協力して圧力をかけようとしている。

複数の機関の調査が2002年から2013年の間にアフリカ中央部のマルミミゾウが65%減少したと示している中、コンゴ共和国で新しい対策が効果をあげているという証拠がある。当局者たちは、Conkouati-Douli国立公園での成功を目の当たりにしている。そこは国の南西にあり、良好な公園の管理と訓練と警備、地域住民に対する教育を伴う、ゾウの数が安定している数少ない場所のひとつである。彼らはまた密猟に関する情報を持つ人々が知ったことを公表することができる国内の“情報網”を設置し始めた。彼らはこの情報網がアフリカ中央部地域に広がることを望んでいる。

「私たちに必要なのは、資金が鍵になる人々に確実に届いているという、不正を許さない政治的意思の証拠である」と保全団体でゾウの保全コーディネーターおよび象牙取引政策アナリストを務めるSimon Hedges氏は述べている。「皆が期待しているのは実行である。」

Hedges氏のような人々は勇気付けられている。象牙焼却も取り組みの一環として行われた、アフリカの動植物の違法取引に関する国際会議において作られた行動計画は、6月に南アフリカで開かれるアフリカ連合首脳会議に提出される。

コンゴ共和国のDjombo大臣は、野生生物犯罪はアフリカの生物資源を破壊している、そのことを最優先課題と思わない者は誰もいないだろう、と語った

「これは国際的な問題です」とDjombo大臣は言った。そして「私たちの国だけではこれを処理することはできません。私たちには世界の人々の協力が必要です」」と付け加えた。


独立行政法人環境再生保全機構より平成24年度地球環境基金助成金を受けて実施した「アフリカの熱帯林の環境保全と日本をつなぐ生物多様性保全の教育・普及活動」のフォローアップの一環としてこのページを作成し、公開しています。

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