木材産業:コンゴ共和国(ブラザヴィル)
以下の内容はこちらのリンク先の記事を訳したものです。 http://www.globaltimber.org.uk/congo.htm
コンゴ共和国(ブラザヴィル)
縦軸:RWE予測量
横軸:(左から)原木、製材、その他の木材製品
コンゴ共和国の熱帯材輸出
縦軸:輸入量
横軸:輸入国;(左から)中国、ポルトガル、フランス、スペイン、イタリア、ドイツ、その他
コンゴ(ブラザヴィル)の原木生産(州別)
コンゴ(ブラザヴィル)からの木材輸出(申告されたもののみ)
縦軸:原木相当量(100万立方メートル)
横軸:(左から)原木、製材、それぞれの年度
中国のコンゴ共和国(ブラザヴィル)からの木材輸入
情報源:中国税関
('000 m3) | Jan | Feb | Mar | Apr | May | Jun | Jul | Aug | Sep | Oct | Nov | Dec |
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2006 | 12 | 42 | 27 | 34 | 31 | 29 | 18 | 36 | 42 | 39 | 23 | 35 |
2007 | 29 | 2 | 27 | 14 | 48 | 19 | 48 | 14 | 33 | 31 | 37 | 28 |
2008 | 42 | 9 | 23 | 25 | 15 | 4 | 69 | 7 | 61 | 53 | 48 | 37 |
2009 | 28 | 11 | 52 | 34 | 17 | 16 | 60 | 21 | 47 | 69 | 38 | 44 |
2010 | 30 | 17 | 35 | 35 | 28 | 22 | 44 | 45 | 69 | 61 | 71 | 28 |
2011 | 54 | 55 | 33 | 18 | 34 | 58 | 44 | 82 | 65 | 37 | 78 | 31 |
2012 | 23 | 79 | 46 | 45 | 88 | 58 | 59 | 58 |
Republic of Congo (Brazzaville)
コンゴ共和国(ブラザヴィル)
2008年年度中に、コンゴ共和国からカメルーンを通して輸出された材木の約2分の3は現在森林管理協議会(FSC)が管理する伐採権を持つ企業によるものである。これらの木材の大半は多分EU諸国に向かう。南部からの木材輸出のほとんどはおそらく違法である。 実際、中国が輸入しているオコウメと言う名の木材の多くが違法に取引されている。その結果、中国で製造され、部分的にでもオコウメを使用している家具や、合板、及び他の木材製品は違法である可能性が高い。
2009年5月にコンゴ共和国は合法の木材のみがコンゴ国内からEU諸国及びそれ以外の輸出先へ輸出されることを確実にするため、EUとの自発的協力協定(略称:VPA)に調印した。この協定が実際に施行されれば、現在コンゴ南西部の熱帯林から輸出される木材の約85%が対象とならないだろう。これはコンゴ共和国の主要な市場である中国に輸出される木材の少なくとも85%ということを意味する。それにもかかわらず、中国がコンゴ共和国から輸入する木材の量は、増加し続けている。特にガボン共和国が木材輸出を禁止して以降、その傾向は著しい。
しかしながら、それ以降も大規模な伐採権が大統領の娘にあたるケリー・クリステル・サスヌゲソの運営する企業に割り当てられた。2010年、彼女はさらに357,000ヘクタールに及ぶエリアの伐採権認可を受けた。2009年にはSinomachと呼ばれる、かつての中国国家林業局傘下の機械製造会社の子会社に当たるChina Fomaが、彼女のために木材を加工して利益を確保した。この事実は2005年にEUとの間で結ばれたVPAは茶番にすぎないことを物語っている。
2009年にはSCTB(コンゴ木材加工会社)が613,000ヘクタールにも及ぶ莫大な伐採権も含んだITLB(リコウアラの木材加工業)の残りの利権を獲得した。後にSCTBはもともと不適切にMWCB(コンゴ木材ミリオン・ウェル)に配分されていた利権をさらに与えられた。 2009年の前半、木材の一種であるオコウメの輸出は近年激減したと主張されていたが、上記の貿易の統計上にはそのような変化は見られない。割り当ての15−30%増加という要求が目立ったものの、木材輸入量割り当てはおそらく実際の貿易に大した影響を及ぼさなかったようである。
コンゴ共和国の林業は二分されてしまったようだ。法の定める伐採権に基づく、例外はあるが大概北部地域で行われる木材輸出と、主に中国への木材供給のために違法に行われているものである。結果として現在の支配者が政権を握ることになった国内紛争の影響もあって、南部の森林地帯の管理があまりにもひどい状態であったため、2000年に、国際熱帯木材機関(略称:ITTO)はその地域での伐採の一時停止および伐採権を一連の小規模なユニットごと設定するのではなく一つの大きなブロックに設定しなおすべきと勧告した。木材伐採の下請け契約は、コンゴ南部特有の問題であり、直接総合的な伐採権認可を受けた場合に求められる手続きを、下請け業者は逃れられている。
コンゴ共和国の法に従えば、輸出される木材の85%は製材機にかけて加工することが義務付けられてが、特別手数料を払えば輸出業者は、この義務を逃れることができる。
赤道ギニア共和国とおそらくガボン共和国内の伐採下請け業者となっているリンブナン・ヒジャウ グループ(Rimbunan Hijau groups)は(タマン産業と名乗り、SOFILとCIBNを通して)コンゴ共和国でも下請け業務を担っているようである。タマン産業の主な活動はチャイル産地、特にニアリ州で行われている。タマン産業が得た伐採区の少なくとも一つは、大統領命令によって配分されたものと理解されている。多分、この大統領の関与によって伐採企業は違法な活動をすることができるようだ。そして、地元の役人らが知る限りでは、これが、タマン産業が伐採権を得ている一連の伐採区で、法に触れる木材輸出、特に年間伐採割当量を大きく超過した木材輸出が行われている理由だ。多くの中国系とされる企業、その多くは偽装企業もしくはほとんど熱帯林での経験を持たない企業が、近年コンゴ南部の熱帯林伐採区の多くを獲得したようである。シノ・コンゴ・フォレット(前身はマン・ファイ・タイとSTCPA Bois)とアジア・コンゴ産業が特に有名である。シノ・コンゴ・フォレットだけで800,000ヘクターに及ぶ5伐採区の権利を得ている。アメリカ合衆国を最大の市場とする、大手中国系グループであるビックウッドはコンゴ北部にも伐採権を獲得しており、カメルーン及び中央アフリカ共和国では最大の伐採区を所持している。
在香港コンゴ共和国名誉領事であり、またマン・ファン・タイと中国海外開発という企業のオーナーでもあるシノ・コンゴ・フォレットのオーナーは、2007年に金融詐欺で起訴された。
シノ・コンゴ・フォレットはまた中国のドア製造業に関わりのあるデジャ・ウッド産業という企業ともまた伐採権に関してつながりを持っている。 中部アフリカから中国に輸入される木材と中国が輸出するオコウメ合板の大半は、家具を作る際に使われるものも含め、全てリンブナン・ヒジャウ グループ(Rimbunan Hijau groups)によって伐採されたもののようだ。米国一国だけが中国の輸出する違法の合板や木製家具のほとんどを占めているので、米国の消費者は意識していながこの違法木材取引に加担していることになるだろう。
法によって定められた管理計画は、中国人、マレーシア人の活動が目立つ西南部(ヌーベル・トラベックを除く)および北端部に位置する上記の伐採権が独占的に与えられた地域で全く実施されていない。政府は南部で活動する企業にこの管理計画に協力するよう促すことすらしておらず、その結果、最悪の腐敗、不適切な伐採権の贈与や譲渡が起きている。この地域のSEFYDの伐採区は象の密猟で悪名高い。中国は(違法な)象牙取引の中心地の一つである。
コンゴ全体での比較的緩やかな増加に比べ、チャイル山地での木材生産(特にオコウメ材)は著しく増加した。一因としてタマン産業による木材搬出に適した道路の建設がチャイル山地内の熱帯林へのアクセスを容易にしたということが挙げられる。このチャイル山地での生産量の増加は、また適切に設計され、法的に承認された管理計画の欠如を反映しているのだろう。FAOによれば、チャイル地域では相当程度商業的価値のある樹木が伐採されており、特に、2001年−2005年の間に360,000立方メートル増加したコンゴの木材輸出のうちの280,000立方メートル分を占めるオコウメ伐採が著しい。これは中国のコンゴからの木材輸入(主にリンブナン・ヒジャウ グループによってあるいは同グループのために伐採されたオコウメ材)は、適切な熱帯林管理がコンゴの森林規約に関する基本目標とされている中で、持続可能でありまた適法なのかという更なる疑問につながる。赤道ギニアと同様、コンゴ国内のオコウメの樹木を枯渇から守る唯一の方法はおそらくワシントン条約(略称:CITES)の保護下に置くことである。ガボン共和国が提議するのであれば附属書V、そうでない場合は附属書Uのリストに掲載されるべきである。
内戦以降、中国はコンゴの石油(2006年、米国に肉薄する第二位の輸出先であった)、木材、その他の自然資源輸出の主要な目的地となった。中国はコンゴへ重厚長大建造物とインフラ設備を提供している。インフラ設備のいくつかは少なくとも不必要であり、特に水力発電は既存のインガ水力発電所だけでコンゴ国内のほとんどの地域の電力は供給できるし、おそらくこれらの中国からの「援助」プロジェクトは社会的、及び環境面での影響を配慮せずに行われている。これらのプロジェクトは輸入された労働力と原材料を使い、コンゴにほとんど付加価値をもたらさず、中国の要求に応じるよう誘導し、更には債務によりコンゴが窮迫させることになるだろう。コンゴの輸出統計は健全に見えるかもしれないし、政界のエリートは富を得ているであろうが、貿易を通して法に則って集められた税収はおそらく大きな国益にはなっていない。さらには富の集中は政治的不安定を促進している。IMF及びその他の機関の懸念を大きくしているのは、コンゴは既に将来の石油収入の大部分を、現在の貧困に苦しむコンゴの人々が利益を得ることは難しい価格と仕組みで抵当にいれているということでり、それは中国に対してだけではない。中国はまたコンゴへの武器供給者として重要になったとも信じられている。
コンゴ盆地の木材分野で最も疑わしいスキームのひとつは、「マレーシア韓国資源共同事業体」といった名称でマレーシア系、韓国系、またアラブ首長国系の企業によって推進されいる、当初はウェッソからジャンバラ経由でブラザウィルまで、おそらくそれに続きジャンバラからポアントノアールに至る、鉄道建設である。鉱業権に加え、事業推進者たちは持続可能な熱帯林管理に必要とされる期間よりずっと短い期間の(UFAs Mbomo およびKelleでの)伐採権からも利益を得ることができる。伐採権は一年たらず前にその時点の唯一の入札者であったコンゴ・デイジャ木材産業(中国系でガボンでも活動している)の手に渡ったようである。このスキームは、特に第一段階では、コンゴにとって有益とは言えない。ブラザビルを沿岸地域と繋ぐ線路や道路が何年かも実質的になく、また大規模な伐採区特に鉄道敷設以前に木材伐採が開始されている地域や鉱業地帯には鉄道が敷かれるにかかわらず、トランスガボン鉄道は利益を全く出さないと想定されている。
IMFはコンゴの林業収入がモニターされることを切望しているが、森林基金に投資されるべきその収入の約40%が総理大臣からの命令によって流用されていた。
中国がコンゴで関心を持っているのは、加工された木材ではなく、自国の(輸出向けの)大規模な合板、家具産業が原料として必要とする原木である。ガボン政権が林業・木材産業の管理を強化し、赤道ギニアの木材供給力が縮減したことも反映している。中国は現在コンゴの木材輸出を支配しており、そのほとんどは結果的に違法と言われるべきものであり、特に伐採区の割り当てを15%以上超過する木材輸出に対して支払われるべき追加税が、適切に支払われていない、あるいはあまりに低水準に設定されている場合は、違法と言うしかない。原則的には、そのような税はコンゴの木材製造業拡大につながるものだが、海外の主要な市場で加工されれば他の木製製品として利用される製材時の副産物が、コンゴでは無駄になることが多い。
コンゴは熱帯アフリカで最も大きな輸出向けプランテーションを持つ。(パルプ向けの)ユーカリにしても、熱帯原生種にしても、特に現在の価格と政治的なリスクレベルでは、アフリカでのプランテーション実用化可能性はかなり限られている。これはFAOや他の機関が主張する、プランテーションが消費と熱帯アフリカに適した供給の間の拡大しつつある不均衡への解決策になるという仮説と矛盾する。コンゴのパルプ材の輸出は事実上2002年に停止した(内戦後、政府幹部による既得権の衝突のためであると考えられている。)ある(腐敗した)南アフリカの黒人のエンパワーメント団体との戯れのようなやりとりの後、プランテーションの運営権が、プランテーション管理に全く携わった経験のない鉱山企業へと移った。運営権は、鉱山会社のマグネシウムやカリ鉱山貸借期間に重なっている。
近年コンゴ政府により発行されたコンゴの木材輸出に関する統計は利用できない極めて誤解されやすいチャートを含む。例えば、同一のパラメーターを使っているのにチャートによって異なる量が表示されていたり、コンゴの木材の主な輸出先である中国が主要輸出先として記載されていないのである。これはずさんな統計結果であるかもしれないし、あるいは特定の情報源からの信頼できるデータを収集することが難しかったということを反映した結果であるのかもしれない。どちらにしても、現在言われているコンゴの透明な政治への移行はあまり信頼できる状態ではない。さらにポアントノアールを主要な港として通過するコンゴのオコウメの輸出と中国への輸出に関する記録はほとんど残されていない。どの港を通ってリンブナン・ヒジャウの輸出は行われ、そして課税や精査はその他のコンゴから輸出される木材と同様に行われたのかという問題がはぐらかされる。このようないい加減な統計の情報は企業のモニタリングにより、コンゴからの木材輸出が従うと推定されるデータと大いに異なっている。
独立行政法人環境再生保全機構より平成24年度地球環境基金助成金を受けて実施する「アフリカの熱帯林の環境保全と日本をつなぐ生物多様性保全の教育・普及活動」の一環として、このページを作成・公開しています。