アフリカ熱帯林の現状と日本との関係

木材産業:ガボン共和国


以下の内容はこちらのリンク先の記事を訳したものです。 http://www.globaltimber.org.uk/gabon.htm

ガボン共和国




縦軸:RWE予測量
横軸:(左から)原木、製材、その他の木材製品

ガボン共和国の熱帯材輸出


縦軸:RWE予測量 (輸入先別)
横軸:(左から)中国、EU諸国、その他

ガボン共和国から中国への木材輸出(中国税関で申告されたもののみ)


縦軸:輸入量
横軸:輸入国;(左から)中国、フランス、イタリア、オランダ、ポルトガル、インド、イスラエル、モロッコ、トルコ、その他EU諸国、その他

中国のガボン共和国からの木材輸入
情報源:中国税関


('000 m3) Jan Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct Nov Dec
2006 45 54 92 53 82 104 46 54 103 97 96 132
2007 61 65 179 101 106 98 61 86 52 138 94 110
2008 142 16 121 90 117 42 117 48 105 71 123 85
2009 63 97 76 118 85 69 53 103 165 64 103 106
2010 80 107 94 60 212 123 45 7 4 5 0 7
2011 1 0 1 0 4 0 1 2 2 7 1 2
2012 8 5 1 3 2 2 3 1 0 0 2

Gabon
ガボン共和国


ガボンは2001年にガボンの森林を持続可能な状態で管理するよう国内の森林に関するとりわけ法律を義務づけた。持続可能な森林管理への歩みは長い歴史を持つ一握りの企業によって閉ざされている(フランスからの経済的な援助を受け、上記の表が示すようにフランスは1996年以前の主要輸出先であった)。

ガボンでの原木の輸出は2010年5月から禁止されており、主要な(特に中国系、マレーシア系)企業によるガボンの輸出前の原木の加工に関する目標達成への努力が乏しかったことが多かれ少なかれこのことに影響しているのは言うまでもない。中国が様々な形状のオコウメの製材、ベニエ板、合板をごくわずかな量輸入しているとすると、中国で生産される、少なくとも部分的にオコウメを使用した家具や木材製品は違法である可能性が高い。そしてそのような製品の所持自体(アメリカ合衆国、そして2013年3月第三週目からEUで)は違法である。

中国への販売は長い歴史をもつ伐採企業(多くはフランス系、そしてもっと最近のものではイタリア系)のキャッシュフローを急激に加速させ、彼らの業務の持続可能なものへと変化させた。

対照的に、中国は1996年からガボンの伐採市場を独占し、アメリカで価値を失いつつある巨額の外貨保有高を所持しているにも関わらず、中国への原木の輸入の大半を占める企業による持続可能な森林管理政策(例えば法律の遵守など)への取り組みにまったく関心を示さない。

リンブナン・ヒジャウ・グループ(マレーシアのサラワク州に拠点を置く多国籍企業であり、創始者は中国福建省の出身である)はガボンで様々な名のもと活動しており(ボーダムアー(Bordamur)、2007年から 活動しているコモ林業(Industrielle et Forestiere du Komo、略称:IFK)も含む)、ガボン内の大小関わらず、最高級のレベルのものを含め多くの伐採区を支配する請負業者として活動しているようである。ファーメジと呼ばれるその活動は違法となっており、特に(森林の伐採権が国有化されている)沿岸地域では特に活発に活動が行われている。IFKの森林管理計画資料として勝手に用いられた資料は本来数年前に世界銀行により援助され行われ、論議を醸した南河口のプロジェクトの一部として準備されたものようである。リンブナン・ヒジャウ・グループはガボンで活動する企業の中でも最大規模のもののひとつであり、ガボンから中国へのログの輸出(特にオコウメの)の主要な供給業者でもある。

活発な活動を続けるか否かはどうであれ、リンブナン・ヒジャウ・グループとともに1990年代にガボンの林業市場に参入したマレーシア系の木材企業はあまり公開されていない。

中国系の企業は現在主要な伐採区のかなりの割合を占めている。これら中国系企業が中国への木材の供給のマレーシア系グループの準独占を阻止を目的にして参入しているかは定かではない。利益の分配に関する同意を通して、彼らのビジネスはまた、ガボン国内の鉱物海洋資源の搾取に対する環境、社会的な影響を軽視するという中国とのガボンのエリートの共謀への代償として後者の利益を補うために役立つかもしれない。そしてこの搾取は長期的な国富の喪失を暗示している。

フア・ジャは中国国際森林グループ企業の子会社、熱帯林での活動経験が全くない中国系の国営木材会社であり、1999年に400、000ヘクタールに及ぶ同企業の伐採区の一覧と管理計画は正式に承認された。しかしながら承認された資料は国際熱帯木材機関(略称:ITTO)の名のもと1990年代に行われた108、000ヘクタール分の生産高と少しから成るようである。ITTOですらその計画は根本的に持続可能ではないとしている(重要な利害関係者を除外し、木材加工業の社会的、環境的な影響を軽視し、また運営管理計画を盛り込んでいなかったというだけだからではない。)

中国国家穀物、油&食品有限会社(中国語名:中国粮油食品(集?)有限公司、略称:COFCO)は中国国営の最大規模の食品グループであり、ビルマ、オセアニア地域、その他の違法木材輸出で知られる地域との木材貿易を行っている子会社を持つ。同企業は近年法により規程されている最大域より40%多い地域の(そしてガボンで最も広範囲の)伐採区を得た。熱帯林の持続可能な管理の経験は全くなく、その計画は自社の活動の環境への影響の査定を除外するつもりのようである。SUNLY、SUNRY、またSAFORという名のもとガボンでの活動を行っているようである。COFCOの名でこの利権を獲得したSAINAという名の事業体はガボンから毎年300、000立方メートルに相当するログの輸出を大連中土フギバー有限会社(Dalian Tuhsu Fuviger)という名の木製フローリングを製造する グ ループへの販売を含め、計画している。

COFCOは森林や持続不可能な他の土地をヤトロファや食物からバイオ燃料の生産への利用に転換している。土地が既に食物の生産のために使われている限り、(あるいは化石燃料とほぼ同一レベルの投資、助成金、とそれ以上の援助がヤトロファの生産や製造に提供されるのであれば)、COFCOの関心は中国の食料価格を増加させ、特に食料不足の場合は消費者は反応としてCOFCOの商品のボイコットを行うかもしれない。その結果として、価格の上昇により同企業が得た利益は相殺されるかもしれない。

2003年には中国系企業ホーネスト・ティンバー(Honest Timber)は200、000ヘクタールにも及ぶ地域の伐採区を獲得したようである。張家港市という中国の熱帯林の木材輸入の多くを占める港町に拠点を置いている。経営者であるグオフア・ジャング(Guohua Zhang)は2010年にガボンで逮捕されている。支部である山東隆盛(シャンドン・ロンシェン)(英語表記:Shandong Longsheng)によるレロイ・ガボン(Leroy Gabon)、ポガブ(Pogab)、プリソロル(Plysorol)の獲得はレロイ・ガボン(Leroy Gabon)とプリソロル(Plysorol)の両方のログの生産量を極端にさげ、結果としてガボンのベニア板産業とフランスの合板産業の中国で製造される木材との競争力をさげた。

プリソロル( Plysorol )は本来ヨーロッパで最大の製材製造業であったが、今は(上記の中国系企業による違反した)事業の管理化に置かれており、プリソロルの元親会社であるSONAEの森林資源は(おそらく違法な手段で)その前の匿名の事業体、コンカース・ボイス(Concours Bois)へと移行しており、おそらく管財人へのアクセスを否定するためである。上記中国系グループはガボンで法律により定められた最大範囲を超過した地域を支配しているようである。

これらの中国系企業は本国政府の企業運営に関する規制だけではなく、ガボン国内の法律も遵守していない。 彼らの伐採区からの原木はEUの適正評価(デュー・デリジェンス)規制、アメリカのレイシー法どちらの元においても許容範囲を超えている。

2012年までにガボン内で設立された伐採区は生産された原木の75%を製造するべきである。原木の輸出割当は2007年に導入されているが、今のところあまり貿易に影響は与えていないようである(上記統計参照)。 世界銀行によれば、ガボンの木材伐採産業はほとんどガボンの利益になっておらず、商業的に魅力的であるガボンの森林財産のほとんどは伐採区として分配されているという。

2007年5月の時点での伐採区の一覧は不履行、特に税金の滞納という(約60%ものガボンの伐採区で、支配しているエリート層を含め)スキャンダルが発覚した後にやむなく退場したいくつかの伐採区を除外している(参照:§20 to 28, also VIII)。

数多くの認証制度の発達にも関わらず(最近のものでいうとPEFC森林認証があるが)、ガボンから認定を受けた木材の貿易は少ないままであるようだ。加工製造工場を通しての連鎖した保護を確保することは、原木として輸出される製品の製造者の生産最大量に関わる法にとって単純ではあるが、際立った試みである。

主に合板に使われ、コンゴ(ブラザヴィレ)、赤道ギニア、そしてガボンのほぼ全土に限定して生息するオコウメはアフリカで最も輸出されてる木材の種である。自然林の地域の中でオコウメの豊かなエリアはおそらく現在行われている法外の伐採のスピードに対し持続可能な管理ができる唯一の森林区域であるであろう。

赤道ギニアとコンゴ共和国南部のブラザヴィレでオコウメの過剰搾取は最も行われているようである。ガボンのオコウメ林の平均的な質は低下しており、政府が持続可能な最高速度より早いペースで伐採は行われているようである。ガボンは主要なオコウメの輸出国であるが、また他の木材種の主要な輸出者でもある。それらの木材はオコウメのように過剰搾取され、絶滅の危機に晒されており、現在ワシントン条約(略称:CITES)のリストに掲載された。

オコウメの価格は1990年中期に需要が(中国によって)急上昇した時に予想されていたのと比べ、ずっと低くなっている。しかしながら、価格の上昇があれば、フランスのオコウメ製材会社の利益に影響を与えていたであろう。さらに1994年に行われたフランス本土のフランに対するCFAフラン(西アフリカ、中部アフリカ地域の旧フランス植民地を中心とする多くの国で用いられる共同通貨)の価値の引き下げは、フランスのオコウメの需要に全く効果がなかったようである。オコウメ原木の輸出(ガボンの原木の約3分の2を占める)は最近になるまでヨーロッパの植民地時代の終了以来、支配層のエリートの関心を引いていた国営独占企業SNBGにより支配されていた。

当時と今の違いは、中国による支配と、未だ残っている国内の資源搾取産業のガボンへの影響と、中国によってスポンサーされているインフラ設備に関する懸念があげられるであろう。

                             
独立行政法人環境再生保全機構より平成24年度地球環境基金助成金を受けて実施する「アフリカの熱帯林の環境保全と日本をつなぐ生物多様性保全の教育・普及活動」の一環として、このページを作成・公開しています。

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