アフリカ熱帯林の現状と日本との関係

木材産業:赤道ギニア


以下の内容はこちらのリンク先の記事を訳したものです。 http://www.globaltimber.org.uk/eqguinea.htm

赤道ギニア




縦軸:RWE予測量
横軸:(左から)原木、製材、その他の木材製品

赤道ギニアの熱帯材輸出


縦軸:輸入量
横軸:輸入国;(左から)中国、スペイン、フランス、日本、その他

中国の赤道ギニアからの原木輸入
情報源:中国税関
(輸出割り当てが赤道ギニアの原木輸出に及ぼした影響を、当局がモニターしやすいようにここに表示する)


('000 m3) Jan Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct Nov Dec
2006 16 41 26 30 37 45 41 34 47 26 13 27
2007 79 2 69 47 60 24 40 50 59 30 27 0
2008 57 10 44 47 36 35 6 3 0 0 5 6
2009 0 0 11 0 0 0 0 0 0 0 5 6
2010 0 0 21 14 13 27 11 17 58 42 0 5
2011 27 30 14 58 17 29 4 33 54 3 25 6
2012 0 19 52 0 58 13 12 78 17 59 41

Equatorial Guinea
赤道ギニア


2007年以降、原木の輸出禁止が実施されている。上記統計の中国の項における輸入量の減少がこの禁止令の効力を示している。2010年前半に中国へ赤道ギニアからの輸入が再開されたことを見ると、禁止令が撤回されたか、2010年5月に実施されたガボンからの原木輸出禁止に伴い、近年の輸入のかなり大きな割合をガボンからの原木が占めているということのように思われる。禁止令がこのままの状態で実施されているとすれば、中国はこの禁止令を意図的に無視し、また暗黙理に赤道ギニアの内政問題に干渉しているということになる。

リマン・ヒジャウ・グループという名のマレーシア系複合企業体の(熱帯諸国での伐採の活動とその影響は悪名高い)系列会社にあたるシマー(Shimmer)は2009年に赤道ギニアでの伐採事業を再開したと言われている。禁止令以前にシマー(Shimmer)が(農林大臣と共謀して)違法行為を働いたと告発されたことは、その悪事を証明している。言うまでもなく、どの国からの原木であれ、部分的にでもリマン・ヒジャウ・グループの系列会社からの原木を使った製品であれば、これらの木材製品が、増え続ける違法木材製品を禁止する国の市場に出回ることがありうることを想定し、原料となる木材がかなりの確率で違法行為と関わっていると見なし、見込み客が関わりにならないと決めることを確実にするために、デュー・デリジェンス(適正評価)を行うことは誰にとってであれ適切と言える。そのような国々の多くでは、違法木材製品を排除するために市場参入者はデュー・デリジェンスを実施することを義務付けられている。リマン・ヒジャウ・グループが中国への熱帯林種原木(特にオコウメ)の主要な供給者であることを考えると、熱帯材を原料とした中国産品の加工業者に問題をもたらすと思われるかもしれない。しかしながら、施行の手ぬるさ、あるいは(おそらくロビー活動による)政治的意思の欠如を示すように、アメリカ合衆国でのそのような違法製品の輸入は、2008年の修正レイシー法(違法に伐採された木材を原料とする木材関連製品の輸入、取引を禁じたアメリカ合衆国の法律)施行後も、未だ増加しているようである。

最近の判決文の42-69節は、赤道ギニアの農林大臣が木材伐採会社に報酬を強要し、一部の企業はその後大臣から違法伐採事業の保護を受けていたという詳細な告発を記録している。

(元スペイン領である)赤道ギニアは石油豊かなアフリカの新しい独裁者国家のひとつである。その沖合い油田はアメリカ合衆国によって支配されている。一方で中国は林業と建設事業を通してアメリカの注意を引かずに赤道ギニア本島リオ・ムニの未開発油田に関して主導的な位置を獲得することができた。これらの建設事業には、中国へ輸出するための木材輸送を容易にし、伐採業を促すための道路建設、改善工事も含まれる。

リオ・ムニの熱帯林はオコウメが豊かである。法によれば、原木輸出が赤道ギニアの木材輸出全体の中で占める割合は小さくなければならない。にもかかわらず、中国の赤道ギニアの熱帯林への関心が高まった1990年代半ば以来、原木は木材輸出の大半を占めている。ここ数年、平均して赤道ギニアの木材輸出の約三分の二が中国へ輸出されている。近年、中国の購入によって、赤道ギニアの年間450,000立方メートルという原木生産の法的制限を50%も超過する生産が行われている。中国は、この明らかに持続不可能で違法な貿易に対し、全く代償を提示してこなかった。

1990年中期から2008年の原木輸出の禁止まで、伐採業は、おそらくその時々の熱帯材(およびそれよりも少ないロシア産材)の中国への主要供給者であった多国籍複合企業(ShimmerおよびMafricaを経由)によって支配されていた。その多国籍複合企業は1ダースあるいはそれ以上、合計で300,000ヘクタール以上(約170万ヘクタールの利用可能な土地の20%;同企業はギニア内の400,000ヘクタールの土地を所有していたと主張した。)の伐採区にアクセスしていた。この多国籍企業は指定された伐採権(大統領の家族のものも含むと見られる)の下請会社として活動し、信頼性のある森林管理計画を整備し着実に実行することに関する直接的な責任を回避し、効果的な訴追から逃れていた。同社は、赤道ギニアの原木生産の半分以上を占め、他の伐採企業の平均より約5倍も速く伐採を行っていた。同社は、年間材木生産制限の約70%を生産し、その輸出のほとんどが原木である。これは、他国からの木材供給がそうであるに違いないように、赤道ギニアからのこの企業の木材輸出(そして中国の輸入)が当時(そして現在も)違法であったということを示している。

この複合企業は、赤道ギニア政府が現在の法定最小径60cmより小さい原木の伐採許可を拒否したら伐採業を停止すると圧力をかけていたと考えられている。これは、少なくともひとつの伐採区で持続可能な森林管理に必要な最高限度を上回る速度で伐採が行われてきたという事実を実証しそうだ。

EUの資金で実施されたCUPEFプロジェクト(現在既に完了している)は赤道ギニアの健全な森林管理に関するよい見本(基盤)となっている。赤道ギニアが石油資源豊かでアフリカ内で最も一人あたりGDPが高い国であるにもかかわらず、国立公園、伐採権に関する法的権限を持つINDEFORは何年間も運営予算を得なかった。従ってINDEFORはCUREFの行った仕事を前進させることがほとんどできなかった。

禁止令以前に、赤道ギニアの森林は既に疲弊しており、輸出向け伐採は多くの保護区(特に重要な生物多様性をもつことで知られるモンテ・アレンーモンテ・ミトラ)をも脅かした。

赤道ギニアは熱帯材産業における腐敗、ひいては、熱帯材伐採業に行き着く先を認識させることを押しとどめているものをしょうちょうしているにもかかわらず、さまざまな通商団体から無視されがちである。赤道ギニアはITTO(国際熱帯木材機関)の加盟国ではないが、ワシントン条約の締結国である。リンブナン・ヒジャウの支配力と赤道ギニア政府の持続可能な森林管理の失敗を考慮すると、おそらく同国の森林を守る唯一の方法はワシントン条約付属文書Uのリスト欄へのオコウメの記載であろう。このリストへの記載によって、部分的にでも少なくとも同種を使用した製品の供給を生態系でのその種の役割に支障をきたさない程度の量にするよう(中国を含めた)輸入国での規制を促すことができるであろう。

                             
独立行政法人環境再生保全機構より平成24年度地球環境基金助成金を受けて実施する「アフリカの熱帯林の環境保全と日本をつなぐ生物多様性保全の教育・普及活動」の一環として、このページを作成・公開しています。

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